プロジェクト概要
2009年9月に民主党政権が誕生したとき、日本に二大政党時代が訪れたと多くの国民が期待を抱きました。しかし、その後の政策の様々なつまずき、3/11東日本大震災の国家的危機、そして消費税引上げを巡る多くの党員の離反を経て、3年後の総選挙で民主党は壊滅的敗北を喫しました。
本プロジェクトでは、2009年9月から2012年12月までの民主党政権を、政策、統治、政党運営などの様々な観点から検証し、日本の政党政治における民主党政権の意義、失敗の理由と今後の日本の政党デモクラシーに必要な教訓を探りました。
首相経験者、党首経験者を含む民主党幹部、関係者の方々のヒアリングと民主党現職衆議院議員全員を対象としたアンケート調査を実施し、国内外の有識者が検証報告を執筆しました。検証報告書は『民主党政権 失敗の検証 日本政治は何を活かすか』と題し、2013年9月25日に中公新書(中央公論新社)より出版されました。また英語版『The Democratic Party of Japan in Power: Challenges and Failures』は2016年9月にRoutledgeから刊行されました。
アンケート回答は当サイトにおいてのみ、その完全版をご覧になることができます。
インタビューについて
民主党政権時の真の姿を様々な視点から検証するため、政権の中枢にいた当時の総理大臣や閣僚、民主党幹部、民主党議員、官僚、社会活動家らを対象に、延べ30回にわたるヒアリングを実施しました。ヒアリングにおいては、民主党政権時における自らの活動、民主党が行った挑戦や失敗の舞台裏などをお話し頂き、広範な話題について質疑応答を行いました。
証言を得たおかげで、報告書に信頼性と迫力が宿っています。
アンケートについて
インタビューできなかった方からも意見をお聞きし、多数の民主党議員による政権運営の評価を知るため、現職民主党衆議院議員全員に対し(2013年9月現在。但し民主党政権の終了した2012年12月の衆議院選で初当選した1名を除く)、政策に対する評価も含む詳細アンケートを実施しました。
56名の対象者うち、45名から回答を得ることができました。回答率は驚異の80.4%となりました。
アンケート結果は、民主党議員による自らの政権運営経験に対する自己評価であると考えています。
アンケート回答閲覧
執筆者チーム
国内外の有力政治経済研究者、弁護士、ジャーナリストが、検証する領域を分担して執筆しました。また、報告書の統一性を保つため、朝日新聞の元論説主幹が編集を担当しました。
本プロジェクト座長
担当:政権・党運営
中野 晃一 (なかの こういち)
上智大学教授
東京大学文学部哲学科および英国オックスフォード大学哲学・政治コース卒業、米国プリンストン大学で博士号(政治学)を取得。専門は比較政治学、日本政治、政治思想。著書に『ヤスクニとむきあう』(共編著)、『グローバルな規範/ローカルな政治』(共編著)、「『政権交代』とは何だったのか、どう失敗したのか―民主党とリベラリズムの来し方と行く末」『世界』(2012年9月号)、『戦後日本の国家保守主義—内務・自治官僚の軌跡』など。
担当:マニフェスト
中北 浩爾 (なかきた こうじ)
一橋大学大学院社会学研究科教授
専門は政治学および日本現代史、特に日本政治史・現代日本政治論。東京大学法学部卒業後、同大学大学院法学政治学研究科博士課程中途退学。博士(法学)。大阪市立大学法学部助教授、立教大学法学部教授などを経て現職。主な著書に、『経済復興と戦後政治』(東京大学出版会、1998年)、『一九五五年体制の成立』(東京大学出版会、2002年)、『日本労働政治の国際関係史』(岩波書店、2008年)、『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書、2012年)。
担当:政治主導
塩崎 彰久 (しおざき あきひさ)
長島・大野・常松法律事務所パートナー弁護士
主な取扱分野はコーポレートガバナンス及び危機管理。2006年から2007年まで首相官邸勤務。1999年東京大学法学部卒。2000年スタンフォード大学大学院国際政策科(修士)。2010年ペンシルバニア大学ウォートン校MBA課程修了。 第一東京弁護士会・民事介入暴力対策委員会副委員長。一般財団法人日本再建イニシアティブ・監事。
担当:経済・財政
田中 秀明 (たなか ひであき)
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
専門は、公共政策、財政学、予算・会計制度、社会保障政策。1985年、旧大蔵省(現財務省)に入省し、予算・財政投融資・自由貿易交渉・中央省庁等改革などに携わる一方、内閣官房、内閣府、外務省、旧厚生省(現厚生労働省)などで勤務。経済協力開発機構(OECD)、国際通貨基金(IMF)などのプロジェクトなどにも参画。主な著書に『財政規律と予算制度改革』(日本評論社、2011年)。政策研究大学院大学博士。
担当:外交・安保
神保 謙 (じんぼ けん)
慶應義塾大学総合政策学部准教授
専門は国際安全保障、アジア太平洋の安全保障等。2005年に慶應義塾大学大学院政策メディア研究科博士号取得。キャノングローバル戦略研究所主任研究員、東京財団上席研究員を兼務。これまで経済財政諮問会議21世紀ビジョン「グローバル化ワーキンググループ」専門委員、日本国際フォーラム研究主幹等を歴任。近著に『アジア太平洋の安全保障』や『中国改革開放への転換』など。
担当:子ども手当
萩原 久美子 (はぎわら くみこ)
下関市立大学経済学部教授
専門は、労働社会学・社会政策のジェンダー分析。著書に『迷走する両立支援-―いま、 子どもをもって働くということ』太郎次郎社エディタス, (2006年5月, 301頁)、 『「育 児休職」協約の成立―高度成長期と家族的責任』勁草書房(日本労 働社会学会奨励賞受賞2009年)など。東京大 学社会科学研究所特任助教を経て現職。
担当:選挙戦略
Phillip Y. Lipscy (フィリップ リプシー)
スタンフォード大学政治学部助教授
スタンフォード大学経済学部、政治学部卒業。同大学院国際政策研究修士課程終了後、ハーバード大学よ りPh.D.(政治学)を取得。RAND研究所サマーフェロー、戦略国際問題研究所(CSIS)ジャパンポリシーフェロー、マンスフィールド財団 日米次世代を担うネットワークに参加。現在スタンフォード大学政治学部助教授、ショーレンスタイン・アジア太平洋研究所センターフェロー。専門分 野は政治経済、日米関係、アジア地域の国際関係、国際関係理論等。著書に 『 Japan under the DPJ:The Politics of Transition and Governance 』 など。
担当:選挙戦略 執筆協力
村井 哲也 (むらい てつや)
明治大学法学部 非常勤講師
専門は、戦後日本における政治史研究。特に首相制度と官僚制度。 著書に、『戦後政治体制の起源 吉田茂の「官邸主導」』(藤原書店、2008年)がある。
エディター
大軒 由敬 (おおのき よしのり)
元朝日新聞社論説主幹
1950年東京生まれ、74年に一橋大学を卒業し朝日新聞記者に。経済部員、AERA副編集長、東京経済部次長、asahi.com編集長、be編集長、論説副主幹を経て、2010年から2012の間朝日新聞論説主幹を務める。
プログラムディレクター
船橋 洋一 (ふなばし よういち)
日本再建イニシアティブ理事長
東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。米ハーバード大学ニーメンフェロー、朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長を経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。ハーバード大学ニーメンフェロー(1975-76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶応大学法学博士号取得(1992年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005-06年)。 2011年9月から日本再建イニシアティブ財団理事長。近著は、『カウントダウン・メルトダウン』(2013年、文藝春秋、大宅壮一賞)、『原発敗戦 危機のリーダーシップとは』(2014年、文藝春秋)など。
スタッフディレクター
俵 健太郎 (たわら けんたろう)
日本再建イニシアティブ主任研究員
東京大学工学部卒業、ケンブリッジ大学不動産経済学部修士課程修了。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、大和証券SMBCにてコーポレート・ファイナンス、デッド・リストラクチャリング、企業再生アドバイザー業務を担当。その後、介護施設運営会社、病院再生支援事業、ラグジュアリーブランド企業等の経営に従事する。