東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故から約4年が経とうとする今、日本はどこまで福島の教訓を学べたのか。2014年9月に故吉田昌郎・福島第一原子力発電所前所長のヒアリング調書という新しい情報が公表されたことを契機に、民間事故調(2012年2月に報告書発表)の当時のワーキンググループメンバー有志がこの4年間を振り返りました。
本プロジェクトは2カ月の準備期間を経て2014年12月に正式発足。吉田調書を読み解き、いくつかの観点から危機対応や危機管理上の課題を抽出しました。
- ICS(インシデントコマンドシステム)
- オペレーション
- ロジスティクス
- ガバナンス
- リーダーシップ
- 安全・安心
- 教訓の学び方
原発事故時の危機対応や民間事故調の検証結果を振り返るに際し、本プロジェクトでは、これまであまり表に出てこなかった若者世代の声を聞きたいと考えました。民間事故調では住民避難の問題に関して災害弱者という視点からの調査は行いましたが、若い世代についてはカバーできなかったため。本プロジェクトでは、慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所と共催で2015年2月4日に「吉田調書に見る福島危機」イベントを開催し、選抜された約20名の学生とプロジェクトメンバー4名が「原発事故の発生当時、政府や東電の対応をどう見ていたか」「自分がもし危機対応当事者として意思決定を迫られたら、どのように考え、どのような決定を下すか」など双方向的な議論を行いました。
報告書は3部構成で、1部は船橋洋一による吉田調書の解読、2部はプロジェクトメンバー4人による民間事故調報告書発表後3年の振り返り、3部は2月4日に行ったイベントでの学生との議論の模様を収録しています。
報告書
『吉田昌郎の遺言 吉田調書に見る福島原発危機』
民間事故調のワーキンググループ有志が、2014年9月に公開された東京電力福島第一原子力発電所前所長・故吉田昌郎氏のヒアリング調書(いわゆる「吉田調書」)の精読を通じて、事故後の4年間で日本はどこまで福島の教訓を学べたのかを検討しました。「民間事故調報告書」の検証結果を踏まえ、ICS(インシデントコマンドシステム)やオペレーション、危機管理のガバナンス、危機時のリーダーシップ、安全・安心、教訓の学び方という観点から調書を読み解きます。
著者:日本再建イニシアティブ 民間事故調査会検証チーム
出版社:東洋出版
初版:2015年2月27日
ISBN-10: 4809677958
ISBN-13: 978-4809677953
序 事故検証から危機検証へ
第1部 吉田調書解読
船橋洋一
第2部 民間事故調検証報告書発行から3年
(当時のワーキンググループメンバー4人による3年後の分析と検証)
堀尾健太・塩崎彰久・鈴木一人・菅原慎悦
第3部 「吉田調書に見る福島危機」
慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所 日本再建イニシアティブ
共催シンポジウム
あとがき
シンポジウムの開催
2015年2月4(水)、慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所と共催で『吉田調書に見る福島危機』を開催しました。ファシリテーターとして、慶応義塾大学の竹中平蔵教授、船橋理事長、パネリストとして当時民間事故調のWGメンバーだった、堀尾健太氏、塩崎彰久氏、鈴木一人氏、菅原慎悦氏が登壇。福島原子力発電所事故に対して強い関心を持つ20名の学生たちと活発に意見を交わし、白熱したシンポジウムになりました。
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メンバープロフィール
民間事故調報告書検証チーム
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船橋 洋一 (ふなばし よういち)
一般財団法人 日本再建イニシアティブ 理事長
主筆。11 年9 月から現職。福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)プログラム・ディレクター。
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鈴木 一人 (すずき かずと)
北海道大学大学院 法学研究科 教授
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菅原 慎悦 (すがわら しんえつ)
一般財団法人 電力中央研究所 社会経済研究所 主任研究員
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塩崎 彰久(しおざき あきひさ)
弁護士
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堀尾 健太 (ほりお けんた)
在ウィーン国際機関日本政府代表部専門調査員
アドバイザー
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エディター・事務局
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大塚 隆 (おおつか たかし)
科学ジャーナリスト
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北澤 桂 (きたざわ けい)
日本再建イニシアティブ主任研究員(統括)
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