「検証 安倍政権 – 保守とリアリズムの政治」を出版


一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(所在地:東京都港区、理事長:船橋洋一、以下「API」)は、2022年1月20日に、『検証 安倍政権 – 保守とリアリズムの政治』を刊行しました。
検証 安倍政権検証 安倍政権
本書は、7年8ヵ月と日本の憲政史上、最長の政権となった第2次安倍晋三政権について、その政策対応と統治のありようをクリティカルに検証し、教訓を引き出そうとしたものです。

APIは、2020年12月に、中北浩爾一橋大学大学院社会学研究科教授を座長とする「検証 安倍政権」プロジェクトを立ち上げ、2021年7月から11月まで、安倍晋三首相や菅義偉官房長官(肩書は当時)をはじめとした第2次安倍政権のキーパーソン54名へのヒアリングを実施しました。その上で、聴取内容などをもとに、アベノミクス、選挙・世論対策、官邸主導、外交・安全保障、TPP・通商、歴史問題、与党統制、女性政策、憲法改正という9つの視座から、第2次安倍政権の政策意思決定過程と教訓を検証しました。

国のあるべきビジョンを明確にし、積極的にアジェンダを設定し、それを能動的に遂行しようとする極めて理念的かつ行動的な政治を行う一方、政策の立案・遂行過程では、現実的かつ実務的な取り組みを行った第2次安倍政権。なぜその時その政策を選択したのか、誰がその決断をどのような判断材料に基づいて行ったのか、という意思決定過程の検証は、日本の「統治のあり方」にも光を当てるものと考えています。統治のあり方は、熟議と妥協による中道の政治を再構築し、政党民主主義の競争的環境を醸成するためにも重要なテーマと考えています。

検証にあたっては、①直接の当事者の話をしっかり、丁寧に聞く。それを踏まえて、帰納的に結論を導く。②善玉・悪玉の構図を描くのではなく、クリティカル・レビューを行う。③因果関係には近因、中因、遠因がある。中因と遠因は、意思決定において決定前の人間の判断に影響を与える社会的、歴史的背景、そしてシステミックな要因である。そこにメスを入れる―というAPIの検証メソッドに基づき行いました。

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タイトル:『検証 安倍政権 – 保守とリアリズムの政治』
発売日:2022年1月20日
出版社:文藝春秋
ISBN:978-4166613465

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文藝春秋


キーパーソン54名へのヒアリングをもとに、9名の研究者による執筆
報告書の作成にあたり、第2次安倍政権のキーパーソンとなった計54名へのヒアリング調査を行いました。そのヒアリングをもとに9名の研究者がそれぞれのテーマ(アベノミクス、選挙・世論対策、官邸主導、外交・安全保障、TPP・通商、歴史問題、与党統制、女性政策、憲法改正)について検証を行い、原稿を執筆、本書を作成しました。

◎ヒアリング協力者(一部のみ記載。敬称略)
安倍晋三/菅義偉/岸田文雄/甘利明/加藤勝信/石破茂/谷垣禎一/山口那津男/菅野志桜里/辻元清美 ほか

「検証 安倍政権」プロジェクトメンバー
中北 浩爾(座長) 
一橋大学大学院社会学研究科 教授(政治学)

上川 龍之進    
大阪大学大学院法学研究科 教授

境家 史郎     
東京大学大学院法学政治学研究科 教授

神保 謙      
慶應義塾大学総合政策学部 教授

寺田 貴      
同志社大学法学部政治学科 教授

熊谷 奈緒子    
青山学院大学地球社会共生学科 教授

竹中 治堅     
政策研究大学院大学 教授

辻 由希      
東海大学政治経済学部 政治学科 教授

マッケルウェイン・ケネス・盛 
東京大学社会科学研究所 教授

目次
はじめに
序論 長期安定政権になったのはなぜか 中北浩爾
第1章 アベノミクス  首相に支配された財務省と日本銀行  上川龍之進
第2章 選挙・世論対策  若年層を取り込んだ「静かなる革命」  境家史郎
第3章 官邸主導  強力で安定したリーダーシップの条件  中北浩爾
第4章 外交・安全保障  戦略性の追求  神保謙
第5章 TPP・通商  世界でも有数のFTA国家に  寺田貴
第6章 歴史問題  貫徹されたリアリズム  熊谷奈緒子
第7章 与党統制  「首相支配」の浸透  竹中治堅
第8章 女性政策  巧みなアジェンダ設定  辻由希
第9章 憲法改正  なぜ実現できなかったのか  ケネス・盛・マッケルウェイン
おわりに
ヒアリング協力者一覧
安倍政権閣僚一覧
自民党役員一覧
安倍政権関連年表

著者情報
一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ
2011年の福島原発事故を調査・検証した「福島原発事故独立検証委員会 (民間事故調)」をプロデュースした一般財団法人日本再建イニシアティブ(RJIF)を発展的に改組して発足したグローバル・シンクタンクです。これまでに、『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2012年)、『民主党政権 失敗の検証』(中公新書、2013年)、『検証 日本の「失われた20年」』(東洋経済新報社、2015年)、『人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃 人口問題民間臨調 調査・報告書』(新潮社、2015年)、『新型コロナ対応・民間臨時調査会 調査・検証報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年)、『福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2021年)を検証報告書として刊行しており、今回が7冊目の検証報告書となります。
https://apinitiative.org/

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