インターンシップ体験記(社会システム・ガバナンス・イノベーション)

体験記一覧


「知識や経験を結集して未来を紡ぐ」

  • 石川 満留(いしかわ みちる)

    インターンシップ期間:2021年7月~2021年8月、2021年12月~2022年1月
    所属大学:米国 Wellesley College
    参画プロジェクト:テクノロジーの社会実装

石川 満留

インターンシップ期間:2021年7月~2021年8月、2021年12月~2022年1月
所属大学:米国 Wellesley College
参画プロジェクト:テクノロジーの社会実装

インターンを始めたきっかけ

大学一年で初めて受けた国際関係政治学の授業でTarah Wheeler氏による論文に出会い、国や分野ごとの境界が存在しないサイバー空間や、サイバーセキュリティにおける国際的な「安全」の定義決めと秩序を構築する難しさ、喫緊の安全保障問題について学び、日本のサイバー対策に強い関心を持ち始めました。国やプライベートセクターのサイバー攻撃の発見や規制が不十分な趨勢の中で、今後社会がどの様に効果的かつ魅力的にデータガバナンス・データ共有を行うのかなど、より深く知識をつけたいと思っていました。

そのような中、APIでは国際安全保障の研究に学生がインターンとして携われることをウェブサイトで知りました。テクノロジーの社会実装プロジェクトの座長である馬田隆明先生の著書『未来を実装する』を読み、セキュリティ問題というマクロな観点から、市民参画・同意というミクロ的な分野まで幅広く研究ができることに感銘を受け、インターンに応募しました。

インターンで経験した業務

社会実装プロジェクトでは、主に日本国内のスマートシティやスーパーシティの推進体制や進捗状況などを研究しています。各都市のウェブサイトの確認や担当者へのヒアリングなどにより情報を収集し、データの活用で交通状況や市民生活を大きく改善した成功例を学ぶ一方、スマートシティ事業の窓口の統一化や透明性のある情報開示の難しさなど、実施面で見られる様々な問題点も知ることができました。

また、暮らしの向上(well-being)を目指すためには、経済性や持続可能性など、重視する点が都市ごとに異なっており、それぞれの地域の置かれた状況への理解が深まりました。定期的なヒアリングの中では、著名なアーキテクトや研究者、政治家から直接お話しを伺う機会もあり、各分野からの着眼点の違いも学ぶことができ、大変勉強になりました。実際に現場で市民やスタートアップ企業と対話をしている方々のお話には説得力があり、理論では解決しきれないことに対し、どの様なアプローチを展開していくべきかについて、考えさせられました。

印象深かった出来事

最も印象深かったことは、海外でご活躍されるアーキテクトの専門家から、日本と海外のスマートシティの構造の違いを伺う機会を得たことでした。データ管理からエネルギー問題を含めた都市設計まで、様々な要素を包括的かつクリエイティブに分析しなければならないプロジェクトですが、大きなビジョンで語った時に浮き彫りになってくる問題点が国により異なることは、自分にとってとても勉強になりました。

財団で得たもの

当初から、マルチステークホルダーによる包括的なセキュリティ対策や、インクルーシブな市民社会の内実を学ぶことを目指していました。デジタル、経済、そして市民生活まで幅広い分野を包摂するのが特徴的な社会実装プロジェクトですが、まさに産官学連携を軸にした多角的な研究の最前線に立ち会うことができました。様々な分野の研究者が長年抱えてきた問題を知り、解決策を結集していくプロセスに立ち会えたことに感動し、自分は「未来を紡ぐ過程にいるのだ」とのインスピレーションを抱きました。実務面で得たもので特筆すべきものは、リサーチスキルと問題認識能力です。日々、プロジェクトマネージャーやチームに報告するために、的確かつ最新の情報を探すスキルや、問題を分析する力が大きく養われたと感じています。

最後にひとこと

APIでのインターンは、普段アカデミアで見かける議論や問題点を、実社会ではどの様に解決しているのかについて、直に学び、体験できる機会です。プロジェクトマネージャーを初め、APIの方々に対して、この様な貴重な研究機会をくださったことに深く感謝しております。

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「キャンパスから飛び出して、実社会の課題を直接学ぶことができたインターンとしての経験」

  • 田村 允(たむら じょう)

    インターンシップ期間:2019年7月~2021年2月
    所属大学:東京大学公共政策大学院 | パリ政治学院公共政策大学院・シンガポール国立大学リークアンユー公共政策大学院ダブルディグリープログラム(MPP-MEA)
    参画プロジェクト:テクノロジーの社会実装

田村 允

インターンシップ期間:2019年7月~2021年2月
所属大学:東京大学公共政策大学院 | パリ政治学院公共政策大学院・シンガポール国立大学リークアンユー公共政策大学院ダブルディグリープログラム(MPP-MEA)
参画プロジェクト:テクノロジーの社会実装

インターンを始めたきっかけ

大学の学部では法律を中心に勉強していたのですが、学部での勉強をしている中で、単に法解釈についての勉強だけでなく、より政策決定や日本の社会制度について学びたいという意欲が湧いてきました。ただ大学で履修できる授業には制限もあり、なかなかやりたいことと履修できる授業が必ずしも一致していませんでした。そのような状況でたまたま手に取った日本再建イニシアティブ(アジア・パシフィック・イニシアティブの前身)の『現代日本の地政学』が興味深く、インターネットで調べてみたところ、学生インターンを積極的に募集していることがわかりました。自分の勉強にもなり、かつ社会人になってからも役に立ちそうなリサーチの基礎などを知ることができる機会は滅多にないと思い、インターンを始めることにしました。

インターンで経験した業務

業務としては、プロジェクトに関係するリサーチや、月に一回あるワーキンググループメンバーが一堂に会する会合のための準備を中心に行いました。私の関わっていた社会実装力プロジェクトは、様々な分野の方にヒアリングを行ったため、ヒアリング対象者の情報を調べたり、会合で提供する資料を整理することが多かったです。当然自分が前提知識のない分野もありますが、プロジェクトマネージャーの方やインターン生と相談しながら調査を進めることで、新しい知識を得る良いきっかけになりました。また、会議で意見を求められることもあり、自分でプロジェクトに関連した記事や本を読んだりすることが業務につながるため、自分の勉強のモチベーションにもなりました。

印象深かった出来事

月一回の会合で、各界のトップランナーの方々が今どのようなことを考えているのか、定点観測のように伺うことができたのは大変良い経験になりました。またヒアリングでも多くの識者の方のお話を伺うことができました。ただ学生生活を送っているだけでは、大学の教授の話を聞くことはあっても、官僚、政治家やスタートアップ企業の社長の方々が今日本にある課題をどのように捉えているかを知ることはなかなかできません。インターンを通して、日本の課題に直接取り組んでいる方々のお考えを伺うことができたのは、学生としては非常に貴重な経験であり、そのお話一つ一つが印象深かったです。

財団で得たもの

プロジェクトに関係する貴重な経験に加えて、プロジェクトマネージャーの方や、インターンに参加している方々との交流も財団で得た貴重な経験となりました。私は、入団前は長期間インターンをした経験もなく、慣れないことも多かったですが、プロジェクトマネージャーの方がリサーチの進め方についてアドバイスをいただいたり、色々と気にかけてくださったおかげで、仕事面でも成長することができたのではないかと思います。また、インターンの意見についてもフラットに耳を傾けてくださり、微力ながらプロジェクトに貢献できたということも嬉しかったです。インターンのメンバーでは、すでに博士課程在籍中のインターンや、全く違う専門分野のインターンもおり、お互いに相談しながら業務にあたることで、新しい視野を得ることができました。学生インターンが多く在籍しており、その中での交流が深まることも財団で得た貴重な経験の一つです。

最後にひとこと

大学生としては、なかなか体験できない貴重な経験と学びが多くあります。財団のやっているプロジェクトに興味があれば、インターンとしての毎日はとても充実したものになる思うので、おすすめです。

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小宮山 俊太郎

インターンシップ期間:2021年2月~2022年3月
所属大学:東京大学教養学部
参画プロジェクト:政策起業家プラットフォーム(PEP)

政策起業家プラットフォーム(PEP)プロジェクトに参加したきっかけ

「霞が関の外からでも政策形成に関われる」というテーマに惹かれたことがきっかけでした。当時、民間企業から政策づくりに関わる仕事に就きたい、という思いで就職活動を進めていました。また、非営利組織の運営にも興味があり、民間企業に就職する前に、少し違う環境も体験してみたいという思いもあり、応募しました。

インターンで経験した業務

私が所属しているPEPプロジェクトでは、PEPジャーナリズム大賞(優れたインターネット上の記事を表彰するイベント)PEPサミット(政策起業家によるシンポジウム)PEPゼミ(政策起業家によるケーススタディ)という、イベント運営が中心でした。

このうちインターンが関わるのは、①イベントの事前広報(例:PEPジャーナリズム大賞)、②当日の運営サポート(登壇者誘導や議事録作成)、③イベントの内容発信(例:PEPサミット2021)、が中心です。調査研究だけに携わるイメージで入ると多少意外と感じるかもしれませんが、シンクタンクが持つ役割のうち「場を主宰する」仕事に多く関われるのがPEPプロジェクト担当インターンの特徴だと思います。

PEPプロジェクトの魅力

PEPプロジェクトでインターンをすることの魅力は色々ありますが、ここでは3つ紹介します。

一番大きな魅力は、第一線で政策形成に取り組む方のお話を直接伺える点です。様々な議論を直接聞く機会を通じて、自分自身の考えを深められたことは、大きな魅力だと感じました。また、PEPは「公共政策」のプロジェクトですが、民間からの政策づくりをテーマに掲げているので、多様な方の話を聞く機会があります。政治家・官僚は勿論、NPOや民間企業、学校法人のリーダーをはじめ、様々な立場から政策づくりに関わる方の話を伺えるのは、このプロジェクトならではかもしれません。内容も、細かい政策の話から、意見が違う人を仲間に引き込む方法といった、実生活でも役立てられそうな話まで様々です。

第二に、プロジェクトとして成果を高めるための工夫として「○○に取り組みたい」といったインターンの意見を大切にしてくれるのも、このプロジェクトの魅力です。例えば、PEPゼミ第一期の内容まとめをインターンで作ったのですが、これもインターンから提案したことがきっかけで始まりました。

最後に、インターンとしての活動を、自宅からリモートで、また、時間も柔軟にできる点も魅力の一つです。自分の場合、週8時間、日曜日までに次の週のシフトを提出し、概ね希望通りの時間に家からリモートで行っています。授業や課外活動、就職活動との両立が容易です。

最後にひとこと

APIに関心を持つ方の多くは、「API=検証」「API=外交・安全保障」という印象を抱いているかもしれません。しかし、PEPプロジェクトで行っている「政策起業力を高めること(≒霞が関の外から政策を変えていく)」は、APIの様々なプロジェクトで得られた知見を社会に活かしていくためには不可欠な要素であり、その意味では、APIが行っているあらゆるプロジェクトの根幹にあるのがPEPプロジェクトなのだと思っています。この文章を読んで下さったことをきっかけに、より多くの方がPEPプロジェクトに関心を持っていただけると幸いです。

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「政策の現場に触れ、多角的な視点と高い視座から物事を捉える」

  • 廣川 和也 (ひろかわ かずや)

    インターンシップ期間:2020年10月〜2022年1月
    所属大学:東京大学公共政策大学院
    参画プロジェクト:検証 安倍政権

廣川 和也

インターンシップ期間:2020年10月〜2022年1月
所属大学:東京大学公共政策大学院
参画プロジェクト:検証 安倍政権

インターンをはじめたきっかけ

平和構築学や政治学を専攻していた学部生のときに、デスクリサーチやデータ分析だけでは知ることのできない政策の現場を覗いてみたいという気持ちから、学生インターンとして参加できるシンクタンクを探しました。

たまたま手に取った『シンクタンクとは何かー政策起業力の時代』を読んだことがきっかけで、シンクタンクの中でも特に、独立した立場から政策形成・改善に影響を与えようとしている組織に関心を持ち、同書の著者である船橋洋一氏が理事長を務めるAPIへの応募を決めました。コロナ禍であったため、フルリモートで参加できるという勤務環境も考慮しました。

インターンで経験した業務

検証安倍政権プロジェクトは、主要テーマごとに研究者の方々とAPIの事務局で、仮説と検証方法に関する議論を定期的に行い、論点を明確した後に主要政治家・官僚へのヒアリング、原稿の執筆・確認へと進むプロジェクトでした。

プロジェクト初期には、新聞報道から年表を作成し、また、書籍や論文の情報をもとに論点要約シートをまとめ、執筆者に提供しました。研究者から検証仮説が出揃ってくると、より深く実証するために、一次ソース(政府や政党のサイト等)から情報を収集し整理したり、また、政治家・官僚へのヒアリングに、議事録作成担当として同席しました。プロジェクト終盤には、原稿に記載された内容について事実関係をチェックし直すというタスクが中心となり、出版をもってひと段落しました。

印象深かった出来事

議事録作成担当としてヒアリングに同席した際に、現場での苦悩や課題意識を耳にしたことがとても印象深かったです。メディアで聞いた話と違うことや、データから見て妥当と思っていた仮説が異なることもあり、研究においては、より現場に違い情報を集めることの重要性を、改めて実感しました。

財団で得たもの

物事の背景に存在する意図や構造を想像する力、物事を批判的に見て自分の意見をはぐくむ力、仮説を自分の手足を動かして検証しきる力を養い、習慣化できるのが、APIならではの経験だと思いました。例えば、報道されている内容も、裏を取ってみると間違っていたということもありました。また、プロジェクトマネージャーや他の学生インターンから学ぶことで、一次情報を表やグラフに落とし込む力、知りたい情報をどう探せば見つけられるのか、プロジェクト全体の流れを俯瞰し何がいつまでに必要かを逆算しながら行動する力などが、身についたと思います。

最後にひとこと

APIには、国際政治に関心を持って応募するインターンが多いのですが、検証安倍政権や、政策起業家プラットフォームデジタル関連など、国内政治や、政策のつくられ方に着目したプロジェクトも充実しています。皆さん、是非積極的に応募してみてください。

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「検証を通して見えてきた多様なアクターの視点」

  • 古賀 達也 (こが たつや)

    インターンシップ期間:2021年4月〜2022年3月
    所属大学:早稲田大学政治経済学部
    参画プロジェクト:検証 安倍政権、企画渉外(広報)

古賀 達也

インターンシップ期間:2021年4月〜
所属大学:早稲田大学政治経済学部
参画プロジェクト:検証 安倍政権、企画渉外(広報)

インターンをはじめたきっかけ

入学以来、大学で学ぶ知識をただの知識で終わらせず、実務に活かせる形で習得したいと考えていました。もともと地政学に関心があり、大学2年生の時には、外資系コンサルティング会社のインターンとして、欧州の地政学リスク分析に携わりましたが、より政治に近い場所で経験を積んでみたいという思いから、シンクタンクでのインターンを志望しました。APIは、私の専攻分野である危機管理・安全保障に強みを持っており、また、独立した立場から永田町や霞ヶ関、民間企業など、様々なアクターの立場を学べることに魅力を感じ、応募しました。

インターンで経験した業務

APIでは、検証 安倍政権プロジェクトのほか、API地経学研究所や企画渉外(広報)など、幅広い業務に携わっています。検証 安倍政権プロジェクトは、第2次安倍政権が進めた主要なテーマについて政策と統治の両面から検証することを目指すものです。私は、執筆する先生方のリサーチ補助やヒアリングのサポートを担当しました。ヒアリングでは、日本政治において、様々なアクターがどのように関わり合って政策を立案・実行しているのかというダイナミズムを目の当たりにしました。船橋理事長や執筆陣の先生方の研究活動を間近でお手伝いする中で、私自身が今後研究を行う上で参考にすべきことも多く学ぶなど、非常に貴重な経験になりました。

そして、自分が関わったプロジェクトの成果が、実際に書籍として出版され、書店に並んでいるのを見た時の感激は今でも忘れられません。素晴らしいチームのもとでこのプロジェクトに関われたことを光栄に思っています。

印象深かった出来事

検証 安倍政権プロジェクトでの経験と同じくらい印象深かったことは、API地経学オンラインサロンに立ち上げ当初から関わったことです。財団に入って間もない私の意見も積極的に取り入れていただき、ダイジェスト版の配信や動画を用いた広報活動の実施など、オンラインサロンのパワーアップに貢献できたことは非常に楽しく、同時にやりがいにあふれた経験でした。第10回API地経学オンラインサロン「ロシア・ウクライナ問題を地経学で読み解く」の実施後には、複数の友人から「興味深い話を聞けて勉強になった」との感想を貰い、専門家の知見をより多くの方に伝えるという目標に微力ながらも貢献できたと、とても嬉しく感じたことを覚えています。

今後も、さらに多くの人にオンラインサロンで得られる知見を共有できるよう、積極的に業務に取り組めればと考えています。

財団で得たもの

APIでのインターンを通じて得たものは、大きく二つあります。

まず一つ目は、様々な考え方・研究に触れ、自身の考えを深めることができたことです。自分は広報に携わっていることから、APIが発信する様々な論考を読む機会が多く、第一線の研究者の方々が、今この瞬間において日本、あるいは世界が抱えている課題をどう捉えているのかについて、常に自分の理解をアップデートすることができました。また、検証 安倍政権プロジェクトでは、政治家や官僚、企業経営者など、多様なアクターそれぞれが抱える利害関係や問題意識も知ることができ、多層的な視点から自らの考えを掘り下げるきっかけになりました。

二つ目は、優秀な同年代の仲間に出会えたことです。APIには多くの大学に所属するインターンが在籍していますが、それぞれが当事者意識を持って自らの問題意識に向き合っています。このような仲間は、自分の大学内で活動していただけではなかなか出会えなかったと思いますし、様々な話をしながら自らの意識を高めてくれる存在にもなっています。APIを卒業した後もそれぞれが活躍し、お互いに学び合えるような関係になることを今から楽しみにしています。

最後にひとこと

APIでのインターンは、民間・独立のシンクタンクという特性を活かし、様々なアクターの視点を学びながら自らの知見を深められる機会です。その点において、アカデミアを志望する方はもちろん、官僚や記者など様々な進路を考えている方々に広く有意義な経験になることは間違いありません。この体験記を読んで応募しようと思ってくださる方がいれば大変嬉しく思いますし、そのような方と一緒に働くことを、心から楽しみにしております!

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