ライフスタイル革命

エネルギー資源価格の急騰、枯渇の懸念、二酸化炭素排出抑制…、エネルギー問題への関心は世界規模でこれまでになく高まっています。エネルギー使用量が多く、自給率が著しく低く、原発事故によって原子力に対する信頼性が損なわれた我が国においてエネルギー需給問題はとりわけ緊要性が高い課題です。これまで、エネルギーの需給については、資源調達や電源のあり方など供給サイドの対策が主でした。需要側の対策の柱である省エネルギーに関しては、経済性に直結する産業部門や輸送部門に重きが置かれてきました。反面、家庭部門や業務部門では、住宅の断熱構造化、ゼロエネビル、省エネ家電、給湯器の高効率化などハードウエアの商品開発は活発に行われてきましたが、普及のスピード感が今一つであり、北欧や西欧のトップランナー諸国と比較して十分に成果が得られているとはいえません。その要因の一つとして、主体者たる人のライフスタイルやワークスタイルへの取り組みが応急的短期的なものにとどまり、恒常的に定着してこなかったことがあげられます。このプロジェクトでは、高度な省エネルギーが求められる近未来を見通し、そこで暮らし働く人が求める安全安心、健康、快適性など生活の質や仕事の生産性を損ねることなく、社会全体で省エネルギー化を図るためのライフスタイルやワークスタイルについて検討するとともに、国民のムーブメントとして定着させるための具体的な方策を提示していきたいと考えます。近い将来には人口減少と人類史上例のない高齢化の時代を迎えることが不可避です。女性の社会進出と待機児童問題に象徴される子育てのための環境整備、健康で元気な高齢者の社会参加、若者の活躍の機会の創出、被災地の復興、これらの諸事情を反映した住宅やコミュニティのあり方などについても多面的に検討しています。

ライフスタイル革命の趣旨(概念図)

ライフスタイル革命委員会メンバー

伊東 豊雄 委員長
建築家

・1941年生まれ
・1965年 東京大学工学部建築学科卒業
・1971年 アーバンロボット設立
・1979年 伊東豊雄建築設計事務所に改称
・主な作品に「せんだいメディアテーク」、「TOD’S表参道ビル」、「多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)」、「2009高雄ワールドゲームズメインスタジアム(台湾)」、「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」などがある。
・現在、「みんなの森 ぎふメディアコスモス(岐阜市)」、「台中メトロポリタンオペラハウス(台湾)」などのプロジェクトが進行中。
・日本建築学会賞作品賞、ヴェネチィア・ビエンナーレ「金獅子賞」、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞など受賞。
・東日本大震災では代表作の一つである「せんだいメディアテーク」が被災し、その復旧に携わったことをきっかけに、各地の復興活動に精力的に取り組んでいる。
仮設住宅における住民の憩いの場として提案した「みんなの家」は、これまでに宮城県仙台市、岩手県釜石市に完成し、現在陸前高田市や東松島市でも計画が進んでいる。
・2012年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展では、日本館のコミッショナーに就任。陸前高田の「みんなの家」の設計プロセスを紹介し、「建築とは何か」を問いかけた展示は、55か国が出展した国別参加部門で最高賞の金獅子賞を受賞。
・また釜石市では復興ディレクターを務め、自治体及び住民と話合いを重ね、双方の意向を取り込んだ復興構想を提示。現在構想の具体化に向けて模索が続いている。
・2011年、私塾「伊東建築塾(特定非営利活動法人これからの建築を考える)」を設立。若く優れた建築家の育成を目指す「建築家養成講座」、一般聴講生を対象に建築や都市への関心を深めてもらうための「土曜講座」、国内初の試みとなる児童対象の継続的な建築スクールである「子ども建築塾」を開講し、建築と社会のつながりを深める活動を行っている。
・2013年、「せんだいメディアテーク」などを通して建築の可能性を広げたこと、「みんなの家」などの活動が「建築家の社会的責任の体現」と評価されたことの功績により「プリツカー賞」を受賞した。


石川 幹子 委員
中央大学理工学部人間総合理工学科教授

・ 東京大学農学部卒業。ハーバード大学デザイン学部大学院卒業
・ 東京大学大学院農学系研究科博士課程修了
・ 農学博士、技術士(建設部門、都市および地方計画)
・ 工学院大学建築学科、慶應義塾大学環境情報学部教授、東京大学大学院工学系研究科教授を経て、現在中央大学理工学部人間総合理工学科教授。
・ 日本学術会議会員、博士(農学)
・ 専門:都市環境計画、ランドスケープ計画
・ 日本、世界各地の都市における水・緑を中心とした都市再生計画・設計に携わる。(中国瀋陽市、都江堰市、大連市、パラオ共和国、ロシア・バシュコルトスタン共和国、スペイン・マドリッド等)。
・ 東京都都市計画審議員・公園審議会委員、横浜市・川崎市・鎌倉市・新宿区・豊島区・港区などの緑地環境にかかわる審議会委員。
・ 宮城県震災復興会議委員(2011年8月まで)
・ 岩沼市震災復興会議議長(2011年5月~現在に至る)
・ 日本建築学会、日本都市計画学会、日本造園学会、土木学会、各会員。
<主な業績>
・ 四川汶川大地震復興グランドデザイン栄誉賞(2008年)
・ 緑の学術賞(2008年)
・ 土木学会環境デザイン最優秀賞(2008年)
・ 日本都市計画学会計画・設計賞(2008年)
・ 緑の都市賞:内閣総理大臣賞(2005年)
・ 日本都市計画学会論文賞(2001年)
<主な著書>
・ 「都市と緑地」(岩波書店)、「流域圏プランニングの時代」(技報堂)、「21世紀の都市を考える」(東京大学出版会)など


市村 次夫 委員
株式会社小布施堂代表取締役
株式会社桝一市村酒造場代表取締役

・1948年生まれ。長野県出身
・1971年 慶應義塾大学法学部卒業
・1971年 信越化学工業株式会社入社
・1981年 同 退社
・1981年 株式会社小布施堂代表取締役就任
現在に至る
・1981年 株式会社桝一市村酒造場代表取締役就任
現在に至る
・1980年~ 財団法人北斎館理事
・1987年~2008年 社団法人21世紀ニュービジネス協議会副会長
※2004年~2008年の間会長
・1988年~2003年 国土交通省地域振興アドバイザー
・1993年~2007年 長野県バイオテクノロジー研究会会長
・2002年~2007年 名古屋工業大学非常勤講師
・2003年~2008年 長野県都市計画審議会会長
・2004年~2009年 長野県人事委員会委員 ※2005年~2009年の間委員長
・2007年~ 財団法人長野県国際交流推進協会理事
・2012年~ 長野県世論調査協会委員長
・2012年~ 公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員
・2012年~ 長野ロータリークラブ会長
<受賞歴>
・1998年 日本建築学会文化賞受賞
・2005年 デザインエクセレントカンパニー受賞
・2009年 藍綬褒章受章


岡野 光喜 委員
スルガ銀行株式会社 代表取締役社長兼CEO

・ 1945年生まれ
・ 1967年 慶應義塾大学 経済学部卒業
・ 1969年 アメリカ合衆国アイオワ州コーネル・カレッジ修了
・ 1969年 株式会社富士銀行入行
・ 1975年 スルガ銀行株式会社入行
・ 1979年 同社 取締役
・ 1980年 同社 常務取締役
・ 1983年 同社 専務取締役
・ 1984年 同社 代表取締役専務
・ 1985年 同社 代表取締役頭取
・ 1998年 同社 代表取締役社長に役称変更
・ 2000年 同社 代表取締役社長 兼 CEO
現在に至る
・ 1994年~2002年 静岡県教育委員会委員 ※1997年~1998年委員長
・ 2007年~ 静岡県公立大学法人評価委員会 委員長
・ 1981年~ 一般財団法人スルガ奨学財団 理事長
・ 1985年~ 一般財団法人企業経営研究所 理事
・ 1985年~ 一般社団法人富士学校後援会 会長
・ 1994年~ 学校法人慶應義塾 評議員 ※2010年より理事
・ 1995年~ 一般財団法人ベルナール・ビュフェ美術館 理事長
・ 1995年~ 一般財団法人井上靖文学館 理事長
・ 1995年~2012年 一般社団法人日本経済団体連合会 理事
・ 1998年~ 公益財団法人大林財団 評議員
・ 2001年~ 公益財団法人彫刻の森芸術文化財団 評議員
・ 2001年~ 財団法人 国際茶道文化協会 評議員
・ 2002年~ 一般財団法人静岡県サッカー協会 会長
・ 2002年~ 財団法人静岡県障害者スポーツ協会 理事長
・ 2004年~2012年 財団法人静岡県銀行協会 副会長
・ 2009年~ 財団法人今日庵 評議員
・ 2012年~ 一般財団法人静岡県銀行協会 評議員会 議長


柏木 孝夫 委員
東京工業大学特命教授・先進エネルギー国際研究センター長、東京都市大学教授

・ 1946年生まれ。 東京都出身
・ 1970年 東京工業大学工学部卒業
・ 1979年 博士号取得。
・ 1980年~1981年 米国商務省NBS(現NIST)招聘研究員などを歴任。
・ 1988年 東京農工大学工学部教授に就任
・ 1995年 IPCC(財団法人工業所有権協力センター)第2作業部会代表執筆者。
・ 2007年 東京工業大学大学院教授、同大学ソリューション研究機構の先進エネルギー国際研究センター(AESセンター)長に就任。 2012年から現職
・ 2012年 放送大学客員教授に就任(兼務)
・ 2013年 東京都市大学教授に就任(兼務)
・ 経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長、日本エネルギー学会会長、日本学術会議連携会員などを歴任
・ 2011年、一般社団法人 低炭素投資促進機構(GIO)理事長、一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(ACEJ)理事長に就任。現在に至るまで長年、国のエネルギー政策づくりに深く関わる
・主な著書 : 「スマート革命」(2010年、日経BP社)、「エネルギー革命」(2012年、日経BP社)など


原 克 委員
早稲田大学教育学部教授 (専門は表象文化論、ドイツ文学)

・ 1954年生まれ。長野県出身
・ 立教大学大学院ドイツ文学専攻博士課程中退
・ 1981年 神戸大学国際文化学部助教授
・ 1993年 立教大学文学部ドイツ文学科教授を経て現職
・ 1985年~1987年 ルール大学文学部研究員
・ 2001年~2002年 ベルリン・フンボルト大学哲学科研究員

・ 著書:『白物家電の神話』(青土社)、『流線形シンドローム』(紀伊國屋書店)、『アップルパイ神話の時代』(岩波書店)、『美女と機械』(河出書房新社)、『気分はサイボーグ』(角川学芸出版)、『身体補完計画』(青土社)、『サラリーマン誕生物語』(講談社)、『ポピュラー・サイエンスの時代』(柏書房)、『暮らしのテクノロジー』(大修館書店)、『モノの都市論』(大修館書店)など


星野 佳路 委員
株式会社星野リゾート代表取締役社長

・ 1960年生まれ。長野県軽井沢町出身
・ 1983年 慶應義塾大学経済学部卒業
・ 米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了
・ 1991年 株式会社星野リゾート代表取締役社長に就任。現在に至る。
・ 所有と運営を一体とする日本の観光産業でいち早く運営特化戦略をとり、運営サービスを提供するビジネスモデルへ転換
・ 2001年に山梨県のリゾナーレ、2003年に福島県のアルツ磐梯、2004年に北海道のトマムとリゾートの再建に取り組む
・ 軽井沢に実家の温泉旅館を改築し2005年「星のや軽井沢」を開業。その後2009年に「星のや京都」、2012年に「星のや竹富島」と「星のや」ブランドを展開
・ 運営拠点は現時点で全国に28カ所にまで成長
・ 2010年からブランド統一を模索。2011年に小規模な高級温泉旅館の新ブランドとして「界」が誕生。今年中に「界」ブランドの温泉旅館を9施設展開する計画
・ 「リゾナーレ」も新ブランドとして展開を計画、2011年12月にはリゾナーレ熱海を開業。2012年に沖縄の小浜島、北海道のトマムにリゾナーレが開業


和泉 洋人 スーパーアドバイザー
内閣総理大臣補佐官
政策研究大学院大学客員教授
慶應義塾大学先導研究センター特任教授

・ 1953年生まれ。神奈川県出身
・ 1976年、東京大学工学部(都市工学)卒業
・ 2001年、工学博士取得(東京大学)
・ 1976年、建設省入省[上級甲種(建築)]
・ 1986年、高崎市都市計画部長
・ 1998年、建設省住宅局住宅生産課長
・ 2001年、国土交通省住宅局住宅総合整備課長
・ 2002年、内閣官房都市再生本部事務局次長
・ 2004年、国土交通省大臣官房審議官(住宅局)
・ 2007年、同 住宅局長
・ 2009年、内閣官房地域活性化統合事務局長
・ 2012年、退職
・ 2012年、内閣官房参与に就任(国家戦略担当)
・ 2013年、内閣総理大臣補佐官に就任(国土強靭化及び復興等の社会資本整備並びに地域活性化担当)
・ 2002年、慶應義塾大学理工学部特別研究教授(現在は特任教授)
・ 2006年、政策研究大学院大学客員教授(現在に至る)
・ 著書: 「容積率緩和型都市計画論」(信山社 単著)、「サスティナブル建築と政策デザイン(共著)」、「CASBEE入門(共著)」、「実例に学ぶCASBEE(共著)」、「サスティナブル生命建築(共著)」など


加藤 貞顕 クリエイティブプロデューサー
株式会社ピースオブケイク代表取締役CEO

・ 1973年生まれ。新潟県出身
・ 大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了
・ アスキー(現:アスキー・メディアワークス)に入社
コンピュータ雑誌の編集を担当。その傍ら、英語学習書『英語耳』の企画を立ち上げ、シリーズ累計80万部以上のヒットとなる
・ 2005年 ダイヤモンド社に移籍
『スタバではグランデを買え!』『評価経済社会』などを編集。2009年に担当した『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が、オリコン年間ランキングBOOK(総合)部門の第1位を獲得。マンガ化、アニメ化、映画化を果たし、現在までに累計270万部を発行
・ 2011年『日経エンタテインメント!』が選ぶ「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞ダイヤモンド社のiPhone/Android用電子書籍リーダーアプリDReader(現:BookPorter)の開発に携わる
・ 2011年 (12月)株式会社ピースオブケイクを設立。代表取締役CEOに就任。現在に至る
・ 2012年 ( 9月)デジタルコンテンツのための課金プラットフォームcakes(ケイクス)をサービスリリース