福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)
「福島原発事故独立検証委員会 (民間事故調)」は、一般財団法人日本再建イニシアティブの最初のプロジェクトです。2011年9月の発足以来、東京電力・福島第一原子力発電所における事故の原因や被害の状況、事故の直接的な原因だけでなく、その背景や構造的な問題点について、民間の純粋に独立した立場かつ国民の一人という目線で検証して参りました。
- 委員長
- 北澤 宏一 (東京都市大学学長)
- 委員
- 遠藤 哲也 (元国際原子力機関理事会議長)
- 委員
- 但木 敬一 (弁護士、森・濱田松本法律事務所、元検事総長)
- 委員
- 野中 郁次郎 (一橋大学名誉教授)
- 委員
- 藤井 眞理子 (東京大学先端科学技術研究センター教授)
- 委員
- 山地 憲治 (地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)
民間事故調は、政府や国会に設置された事故調査委員会とは異なり、既存の組織や枠組みにとらわれない自由な立場を生かして、政治家や官僚など事故対応の当事者を招いてインタビューを行いました。調査の過程でヒアリングをした関係者は、菅直人前首相、枝野幸男経産相(前官房長官)、海江田万里元経産相、細野豪志環境・原発事故担当相、福山哲郎前官房副長官など事故対応時に政務中枢にいた政治家や、班目春樹原子力安全委員長、深野弘行原子力安全・保安院長、近藤駿介原子力委員長ほか、約300人となっています。
報告書は4部構成となっており、事故の原因や被害の拡大をめぐる因果関係を
「近因・中間因・遠因」のフレームワークで分析しています。
第一部:事故や被害の経緯
第二部:官邸や現地における事故への対応とその問題点
第三部:事故を起こした直接原因ではないが、規制の甘さの土壌を形作った
歴史的・構造的な背景
第四部:原子力安全をめぐる国際的な環境や事故対応をめぐる日米関係
特別寄稿: 災害弱者・避難民の視点
巻末:近藤駿介原子力委員長作成の「最悪シナリオ」の全文収録
発売日:2012年3月11日
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ISBN:978-4-7993-1158-5
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プロジェクト詳細
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東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故から約4年が経とうとする今、日本はどこまで福島の教訓を学べたのか。2014年9月に故吉田昌郎・福島第一原子力発電所前所長のヒアリング調書という新しい情報が公表されたことを契機に、民間事故調(2012年2月に報告書発表)の当時のワーキンググループメンバー有志がこの4年間を振り返りました。
記憶が風化する前に福島原発危機当時の危機対応の課題を整理し教訓を引き出すため、このプロジェクトでは、福島第一原発から20km-30km圏内の「屋内退避地域」にある6つの病院や薬局、老人施設、行政機関へのヒアリングを通じて、危機時の医療体制や病院そのものの避難について調査しました。
本プロジェクトでは、その経験に加え、日米両政府の関係者らへのインタビュー等に基づき、日米両国がいかに共同連携して危機に立ち向かったかを、詳細に明らかにしています。その上で、この「トモダチ作戦」遂行の過程で浮かび上がった教訓と課題から、我が国のあるべき安全保障・危機管理体制と同盟メカニズムの姿を提言しています。
2021年3月、我が国は福島第一原発事故発災後10年の節目を迎えました。この10年間で、戦後日本史上空前の危機から私たちは何を教訓として学び、「国のかたち」はいかに変わったでしょうか。2011年の民間事故調の理念を継承し、APIは、2019年6月に「福島原発事故後10年の検証(第二民間事故調)」プロジェクトを立ち上げ、2021年2月に報告書を出版しました。報告書の作成にあたり、東京電力、原子力規制庁、自衛隊、政治家など、当時を知り、現在も問題へ携わっている関係者37名へのヒアリングを行いました。そのヒアリングをもとに8名の専門家が検証・考察を行い、原稿を執筆、報告書を作成しました。専門家の客観的な視点により、福島原発事故から「私たちは何を学んだのか」を検証しています。