経済安全保障に関する日本企業100社アンケートの結果を発表


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一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(所在地:東京都港区、理事長:船橋洋一、以下API)は、この度、APIの「国家経済安全保障戦略」プロジェクトの一環として、経済安全保障に関する日本企業100社アンケートを実施しました。

本調査は、日本の経済安全保障において重要な位置を占め、またその影響を敏感に受けているとAPIが考える日本の企業100社(研究機関等を含む。以下同じ)に対し、経済安全保障に関する課題やリスク、実際の取り組み、米中対立の影響、そして政府への期待や要望を中心に、アンケート形式で行ったものです。回答企業は製造業、通信、金融、運輸、不動産、商社などの主要企業で、100社のリストはこちらからご覧いただけます。アンケートは、対象企業の経済安保担当部署へ2021年11月中旬に調査票をメールで送付、12月中旬までにご回答いただき、集計しました。

調査結果の要旨は以下のとおりです。調査結果に関する主要データはこちらをご覧ください。なお、調査結果に関する研究員の論考は、『API地経学ブリーフィング』(東洋経済オンラインにも掲載)に掲載しています。

  • 経済安全保障上の最大の課題を聞いたところ、75.0%の企業が「米中関係の不透明性」を挙げ、また事業に米中対立の「影響が出ている」と答えた企業は60.8%に上った。98.0%の企業が「経済安全保障を意識している」と回答し、ほぼすべての企業が何らかのかたちで経済安全保障の影響を受け、意識をしていることが分かる。86.9%の企業が取り組みをすでに「行なっている」と回答した。
  • 各社の中国および米国事業について今後の売上比率目標を聞いたところ、中国について33.3%の企業が「増やす目標がある」と回答し、米国についても41.9%が「増やす目標がある」と回答した。一方で、懸念要因として「米国の規制強化によるコスト増」を挙げた企業が59.5%に上った。米中の板挟みのなかでも、バランスをとりながら米中両方での事業拡大を模索している状況がうかがえる。
  • 「経済安全保障担当大臣への期待」を聞いたところ、「米中の規制に対してどう対応すべきか、明確な日本の方針を出すこと」、「米中ビジネスの両立が図れる政策決定と規制範囲の明確化」など、経済安全保障にどこまで配慮すべきか明確な“線引き”を求める回答が数多く寄せられた。

今回の調査を通じて、グローバルに活動する日本企業が米中のはざまで、さらには経済活動と安全保障という二つの要素の間で、どのようにバランスをとったらよいのか、その不透明性と事業への影響に苦悩する姿が浮かび上がりました。APIでは日本の経済安全保障がどうあるべきか、これまで『API地経学ブリーフィング』や『API地経学オンラインサロン』を通じて発表してきました。今回の経済安全保障100社アンケートの結果は、官民の対話と連携が極めて重要なことを、改めて明らかにしました。APIはこれからも、日本にとっての「全体最適解」を探求すべく、政・官・民・学の集う経済安全保障政策コミュニティの構築を目指してまいります。

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  • アンケート結果に関する研究員の論考(『API地経学ブリーフィング』)はこちら
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