API国際政治論壇レビュー(2021年11月・12月合併号)


米中対立が熾烈化するなか、ポストコロナの世界秩序はどう展開していくのか。アメリカは何を考えているのか。中国は、どう動くのか。大きく変化する国際情勢の動向、なかでも刻々と変化する大国のパワーバランスについて、世界の論壇をフォローするAPIの研究員がブリーフィングします(編集長:細谷雄一 研究主幹、慶應義塾大学法学部教授、ケンブリッジ大学ダウニング・カレッジ訪問研究員)

本稿は、新潮社Foresight(フォーサイト)にも掲載されています。

https://www.fsight.jp/subcategory/API国際政治論壇レビュー

API国際政治論壇レビュー(2021年11・12月合併号)

2021年12月22日

API 研究主幹、慶應義塾大学法学部教授、ケンブリッジ大学ダウニング・カレッジ訪問研究員 細谷雄一

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1.バイデン政権の民主主義サミット

2021年12月9日から10日にかけて、オンライン形式で、アメリカのジョー・バイデン大統領が主催する「民主主義のためのサミット(The Summit for Democracy)」が開催された。バイデンは大統領選挙が行われていた2019年の時点で、選挙での勝利の後、大統領として民主主義諸国が結集するサミットを開催することを公約としてきた。

バイデン大統領が民主主義サミットを開催する背景には、権威主義体制である中国の急速な経済成長、そして政治的な影響力の拡大に伴う権威主義体制諸国の台頭に対して、民主主義体制が劣勢にあるという認識があった。実際に、過去10年ほどで民主主義諸国の数は減少しており、冷戦終結直後の民主主義の拡大に対する楽観論は大きく後退した。そのような趨勢を反転させるためにも、バイデン大統領は自らが指導力を発揮して「民主主義のためのサミット」を開く必要があった。

このオンラインで行われた民主主義サミットに招待された111カ国・地域は、必ずしもすべてが成熟した自由民主主義諸国というわけではなかった。そのため、「民主主義のサミット(The Summit of Democracies)」ではなく「民主主義のためのサミット(The Summit for Democracy)」と、その名称にも留意する必要があった。民主主義の発展を志向するサミットと位置づけ、民主主義政治への問題や批判が見られる諸国であっても参加できるように配慮したものと考えられる。

民主主義体制と権威主義体制が対峙するという構図は、今年になってから繰り返し論じられ指摘されてきたテーマである。ちょうど毎年年末に刊行される英『エコノミスト』誌の特別号、『2022年の世界を展望する』では、巻頭でトム・スタンデージ編集長が2022年の世界の10大テーマの第1として、「民主主義と専制主義の対立」を挙げている(1-①)。このような米中対立を中核とする、民主主義体制と権威主義体制の対立という構図は、2022年にはよりいっそう熾烈なものとなるであろう。そのような潮流の中で開催された「民主主義のためのサミット」をめぐって、国際論壇では多様な見解、論調が見られた。はたして民主主義サミットにはどのような意義があり、どのような成果があったのだろうか。

この民主主義サミットは比較的早い段階で開催のスケジュールが固まっていたために、開催前から論壇誌や新聞紙面ではそれをめぐりさまざまな議論が見られた。たとえば、リチャード・フォンテーヌとジャレッド・コーエンは、『フォーリン・ポリシー』誌に寄せた原稿の中で、開催前の民主主義サミットについて、バイデン大統領の意図する外交目的が不明瞭であると批判し、また非民主主義的な諸国もそこに含められるということへ疑念を示した(1-②)。他方でフォンテーヌとコーエンは、民主主義諸国間が協力関係を強化する方策を具体的に提言しており、単なる修辞以上に民主主義を強化する意義があることを強調している。このように民主主義サミットを実施すること自体には肯定的であっても、バイデン大統領がそれをどのように位置づけ、どのように実施するかについてはさまざまな批判的な見解が見られた。

他方で、リアリストの国際政治学者として定期的に『フォーリン・ポリシー』誌にコラムを寄せるスティーブン・ウォルト・ハーバード大学教授は、明確な目的を持たずに開催する民主主義サミットは、むしろアメリカをはじめとする民主主義諸国の利益を考慮する際に逆効果となる可能性があると、その実施自体を問題視する(1-③)。ウォルトによれば、民主主義の強みを世界にアピールするためには、実際に民主主義諸国が権威主義体制と比べて、経済成長や社会の安定性など、よりよい成果を生み出すことを示す必要がある。すなわち、より安全で、より豊かで、より日々の生活に満足できるような政治や社会を生み出すことによりはじめて、民主主義体制の優位性を示すことができるはずだ。ウォルトによれば、アメリカ合衆国は現在、そのような成果を生み出しているわけではなく、そこに問題の本質があるという主張は適切なものといえるだろう。

この民主主義サミットの開催に対して、中国においてもその参加国数の規模や、会議の成果について注目が集まっていた。中国ではあくまでも、台湾がそこに参加していること、そして台湾の民主主義をアメリカが擁護していることに強い関心が向けられている。たとえば『環球時報』紙の社説は、アメリカが中国に配慮し、台湾からの参加を主要閣僚ではない官僚の参加に留めた抑制的な対応に注目しながらも、そのようなサミットを開催して、そこに台湾を招待することにより中国を挑発したと批判する(1-④)。そして、最近の中国でしばしば論じられているように、米台関係を強化して、台湾を独立へ向かわせるような、アメリカのいわゆる「サラミ戦術」を牽制する。とはいえこの社説においては、中国政府の米台双方を「圧倒する決意と自信」を誇示し、また「台湾独立」に対する武力による懲罰について人民の付託を受けていることを強調する。それにより、民主主義サミットが中台関係の行方にはいかなる重要な影響も及ぼさないであろうと一蹴する。

このような中国における民主主義サミット批判の論調に加えて、中国とロシアがこれを機によりいっそうアメリカ批判の姿勢を強め、中ロ関係の強化へと動いている点も注目に値する。民主主義サミット開催を前にして、アナトリー・アントノフ駐米ロシア大使と秦剛駐米中国大使が共同執筆した『ナショナル・インタレスト』誌の論考では、アメリカがイデオロギー対立を国家間関係にもたらし、アメリカが擁護するある特定の「民主主義」を他国に押しつける行為を慎むようにうったえている(1-⑤)。同論考は、民主主義サミット「冷戦思考の遺物」とみなし、中ロ両国はそのような動きに断固として反対するとの姿勢を示す。そして、そのようなアメリカの対外姿勢が覇権と分断をもたらし、国際秩序を不安定化していると批判した。この2人の大使によれば、アメリカはロシアや中国の民主主義を懸念するよりも自国のそれを懸念すべきであり、価値外交を控えて相互尊重の精神から、平和共存を試みることが重要だという。

このような中国やロシアからの批判に対して、バイデン政権のアメリカはどのように応えるのか。そして日本もまた、民主主義勢力が後退している現状をどのように受けとめるのか。この民主主義体制と権威主義体制の対立として国際秩序を眺める構図は、今後も持続していくであろう。

2. AUKUSが生み出す新しい戦略環境

9月15日の発表以来、アメリカ、イギリス、オーストラリア3国間の協力枠組みであるAUKUSをめぐり、外交や安全保障の専門家の間で論争が続いている。それははたして、必要で有益な枠組みなのか。あるいは、あまりにも多くの問題を抱えているというべきなのか。その結成の意義と影響について賛否両論が見られるが、他方で具体的な協力枠組みの内実や、今後の発展の方向性については依然として不透明な部分が大きい。また、そもそもの3国間の協力の中核を占めていたオーストラリアの原子力潜水艦の共同開発についても、はたして米英協力による技術供与が本当に実現可能なのか、そしてオーストラリア軍による配備が実現するのがいつ頃なのかについて、あまりにも曖昧な領域が大きい。

そのようななかで、AUKUSの意義と意味について明解な主張を行っているのが、ロンドン大学キングス・カレッジ教授で、アジアの海洋安全保障の専門家であるアレッシオ・パタラーノである。パタラーノは、AUKUSは中国の海洋進出という現実がもたらしたレアルポリティークの結果であり、それに対抗するために必要なミニラテラリズムの成果であると説く(2-①)。今年の6月の英コーンウォールG7サミットの際に英米両国首脳により示された「新大西洋憲章」に見られるように、英米両国は世界秩序観を共有し、中国による経済的強制や、海警による威嚇的な行動がこの地域にもたらす不安定性を懸念する。それゆえ、オーストラリア政府が抱える不安を共有し、それに実効的に対処することが不可欠であった。いわば、AUKUSは中国が批判するような「冷戦思考の遺物」などではなく、クアッドに見られるような政策領域ごとに柔軟な連携を組むミニラテラリズムの新しい潮流といえる。さらにこれは、イギリス政府が3月に公表した「統合レビュー」で定義した「主宰する力(convening power)」を実践する試みでもあると位置づける。パタラーノは、イギリスの視点からこのAUKUSの意義を説明している。

ヨーロッパ大陸から眺めると、AUKUSをめぐりイギリスの政策は異なる文脈で語られることになる。たとえば、ドイツ国際安全保障問題研究所(SWP)の研究員であるクラウディア・マヨールとニコライ・フォン・オンダルツァによる論考では、EU(欧州連合)の「戦略的自立」摸索とイギリスの英語圏諸国の結束を目指す志向の隔たり、つまりブレグジット後のヨーロッパにおいて、アメリカの同盟諸国の間で異なる道筋が描かれていることに注目する(2-②)。またそのことは、ブレグジット後のイギリスが、EUにとって難しいパートナーとなることを示唆している。他方で、「グローバル・ブリテン」を実践する上でイギリスが十分な資源を有しているかどうかについては、このようなドイツの安全保障研究者のみならず、イギリス国内でも論じられている。「中流階級のための外交」を志向するアメリカと、財政的困難から防衛費の削減が課題となるであろうイギリスは、はたしてどこまでインド太平洋の安全保障問題に関与することができるのか。アフガニスタンからの米軍の撤退は、そのような疑念を生じさせているのである。

これからのインド太平洋における戦略関係において中核的な位置を占めるであろうインドは、このAUKUSをどのように見ているのか。インドと日本が加わるクアッドとは異なり、AUKUSは米英豪という英語圏諸国の結束であり、同質的な諸国による安全保障協力ということで、インドでは一歩距離を置く見方が多い。同時に、インドは独自にロシアや中国とも良好な関係を維持しようとしており、戦略目標は必ずしもAUKUS諸国と一致しているわけではない。そのようななか、シンガポール国立大学の研究員を務めるヨゲシュ・ジョシは、アメリカの軍事技術がAUKUSを通じてオーストラリアへと移転する点に注目して、これまでロシアの原潜技術に依存してきたインドが、今後はアメリカとの共同開発や技術移転に期待できる可能性を示唆する(2-③)。インドは現在、急速に軍事費を増大させ、また軍事技術を発展させているが、AUKUSによるオーストラリアへの原潜開発技術の供与がこの地域の戦略バランスにおいて、インドに有利な動きをもたらすことを指摘する。

他方で、東南アジア諸国は一般的に、このようなAUKUS成立の動きに対してはより慎重であり、より否定的だと言えそうである。ISEASユソク・イシャク研究所のシニア・フェローであるウィリアム・チョーンとシャロン・シェイの論考では、AUKUSがこの地域での地政学リスクを高めて、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国を米中対立の構造の中でよりいっそう分断させて、加盟国間の摩擦を増幅させることに警鐘を鳴らす(2-④)。これまでこの地域における地域統合の「原動力(ドライバー)」であったASEANも、いまやその「黄金時代」を終えつつあり、連帯の欠如もよりいっそう明白となった。ASEANが機能麻痺する中で、AUKUSがASEANにとって負の影響をもたらすことを批判的に論じている。日本が参加しているクアッドと異なり、おそらくAUKUSとしてのアングロサクソン諸国の結束は、東南アジアでは帝国主義の記憶を喚起させ、米中対立による地域の分断を加速するものとして捉えられているのではないか。

アメリカの安全保障コミュニティにおいては、AUKUSは戦略的に必要な枠組みであり、オーストラリアが原子力潜水艦を保有することで中国に対する民主主義勢力の抑止力を強化することに資するという論調が一般的である。軍事的な合理性から考慮して、フランスの潜水艦ではなく、米英による技術供与により原潜を配備する方が、アメリカのインド太平洋戦略にとっては有益という見解が幅広く共有されている。他方で、そのような動きをイギリス、インド、ASEANというように、異なる角度から俯瞰することも必要なのではないか。

3.ヨーロッパのインド太平洋関与

アメリカやイギリス、さらにはオーストラリアがこのようにアングロサクソン諸国での結束を含めて、ミニラテラリズムによって限定的な少数国での連携を優先する背景には、ヨーロッパ大陸諸国の防衛能力に対するアメリカ側の失望が見られる。30カ国で構成されるNATO(北大西洋条約機構)においては、アメリカ一国で全体の7割の防衛費を占めており、アメリカの防衛負担が圧倒的となっている。近年では、NATO内で目標としている、欧州の加盟各国のGDP比での2%以上の防衛費支出についてその条件をクリアした国の数が11カ国まで増えており、アメリカ政府からの批判に応えるかたちで欧州諸国の防衛費支出が増大している。とはいえ、財政支出だけではなく技術革新の領域においても、アメリカと欧州大陸諸国との格差は開く一方であり、そのような現実が、オーストラリア政府が、フランスではなく、共同開発の相手国をアメリカやイギリスへと変更した背景であろう。

とりわけ、インド太平洋地域で軍事行動を活発化させ、軍事費を増大し続けて技術もアメリカに対抗できる水準に近づいてきた中国に対して、ヨーロッパ諸国がどのように対応するかが問われている。国際政治学者のスティーブン・ウォルトは、自らの「恐怖の均衡」理論に基づいて、地球の裏側の中国の軍事的脅威に対してヨーロッパ諸国は一定程度以上の関与はしないであろうし、そのような脅威を真剣に受け止めて対抗することもないだろうと想定する(3-①)。あくまでもヨーロッパ諸国にとっては、ウクライナ東部へのロシア軍による軍事攻撃の可能性という実在的な脅威こそが優先事項であり、ポーランドやバルト三国のようなEU加盟国の安全確保が優先されるべきだと考えられている。人権問題や、公衆衛生問題、国際貿易、気候変動などの領域では米欧間の協力は可能だろうが、それ以上のことを欧州諸国に求めることは不適切であるとウォルトは論じる。それゆえ、この論考のタイトルは、「ヨーロッパははたして本当に中国に対抗するつもりなのか?」となっている。

他方で、アメリカで保守派を代表する外交評論家のウォルター・ラッセル・ミードも、インド太平洋地域における米軍の関与について、欧州諸国では適切に理解されていないことを批判している(3-②)。たしかに、イギリスやオランダ、ドイツはこの夏から秋にかけて、海軍の艦船をインド太平洋地域に派遣した。ただしそれは名ばかりのものであって、実際にこの地域で有事が発生した際に実質的な軍事的貢献ができるかどうかは不明である。むしろ欧州諸国はそれ以外の方法で、中国が国際的なルールを守るように説得するなど、重要な役割を有している。ウォルトとミードは、いずれも、アメリカのインド太平洋での責任や軍事的関与についての欧州諸国における理解の不足から、米欧間の摩擦や、インド太平洋政策の軋轢が生じていることを指摘する。

インド太平洋の地政学的な変動に対して、欧州諸国の対応が不十分であるという声は、ヨーロッパ内部からも聞こえてくる。ドイツにおける代表的な外交評論家であり、アジア問題についても積極的な発言をしてきたハンス・マウルは、中国の脅威に対抗するための対応が不十分であるということを、冷戦期のヨーロッパにおける事例と比較して、次の3点から指摘する(3-③)。第1は、コミットメントの欠如である。冷戦期のヨーロッパが安定と安全を維持できたのは、アメリカがヨーロッパの安全に対して明確なコミットメントを約束したからである。しかしながらクアッドもAUKUSも、そのような明確な軍事的コミットメントを示すものではない。第2には、中国の脅威に対抗するために必要なインド太平洋における多国間枠組みの不在である。第3には、主要国における、この地域の安全保障に対するコミットメントに対する国内的な支持の弱さである。冷戦期のヨーロッパでは、欧州へのコミットメントに対する超党派的な国内政治的基盤が存在していた。しかしながら今のアメリカで、そして欧州主要国で、中国に対抗するための軍事関与に賛同するような明確な国内政治的基盤があるわけではない。これらのことからハンス・マウルは、中国の野心を抑止するために十分な要素が不在である問題を指摘する。重要な点である。

NATO事務総長やデンマーク首相を務めたアナス・フォー・ラスムセンは、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙へ寄稿した論考の中で、ヨーロッパが自己満足的な姿勢を改めて、中国に対抗するためにアメリカとの提携を強めるべきだと提言する(3-④)。ヨーロッパではもっぱら、ロシアの脅威が強調される傾向が見られるが、現代のアメリカにとっては何よりも、中国の覇権を求める挑戦こそが最大の脅威と認識されている。そのような現実を直視して、アメリカがインド太平洋地域での優位性を失わないようにしなければ、そのことがヨーロッパにも巨大な負の影響を及ぼすであろうと警告する。自由主義と権威主義とのイデオロギー的な対立において、ヨーロッパは曖昧な立場であるべきではなく、また傍観者という立場で過度にアメリカに依存したりバランシングのような中立的な位置に立ったりすべきでない。ヨーロッパからのこのような警告も、重要ではないか。

同時に、イギリスの王立防衛安全保障研究所(RUSI)のシニア・フェローを務めるオランダ人の中国専門家であるフェール・ノオウェンスは、次第にEUがインド太平洋関与の重要性を認識するようになり、9月に発表したインド太平洋戦略が示すようにこの地域への関与を深めることは価値があると強調する(3-⑤)。EUはそれ自体がこの地域でのメイン・プレーヤーになることはできないが、アメリカなどのこの地域のパートナーと緊密に協力することや、長期的な一貫性のある戦略を持つことで、一定の役割を担うことはできる。そのためにも、イギリスとEUが戦略を整合させるために協力分野を見出すことが重要になると指摘する。

インド太平洋地域におけるEUの役割についてはこれまでしばしば批判がなされたが、現在ではEU独自のインド太平洋戦略を公表し、またよりいっそう深く安全保障領域でも関与する姿勢が示されている。国連安保理常任理事国であり、EU加盟国としてもっとも強靱な軍事力を保持していたイギリスがEUを離脱したことによって、EUの安全保障領域での世界的な役割は縮小が想定されることが多かった。しかし、今までよりもはるかに真剣に、中国がもたらす問題や脅威に対抗する姿勢が示されている(3-⑥)。そのことは、EUの「外相」にあたる、ジョセップ・ボレルEU外務・安全保障政策上級代表が寄稿した論考でも示されている。EUは、「戦略的羅針盤」と題する新しい安全保障協力のプロセスを2020年にスタートさせて、2022年にはそれを実行に移す予定である。EUは危機に際して、よりいっそう迅速かつ実効的に対処するために、サイバーや海洋、宇宙の領域においても迅速な対応が可能となるようなガイドラインを策定することになる。

フランスやドイツ、オランダ、イギリスなどの諸国が、独自のインド太平洋戦略を提示することによって、個別的に推進されてきたヨーロッパのインド太平洋政策について、アフガニスタン撤退やAUKUS結成などにより米欧関係の足並みの乱れが顕著となっていたが、秋から冬にかけてその修復と、連携の強化が試みられている。依然として、相互不信や調整の欠如が見られ、また民主主義サミットがもたらす成果も限定的ではあるが、中国に対抗する民主主義諸国間の連携は着実に前進しつつあると見てよいのではないか。

4. メルケル後のドイツ政治

はたして中国のもたらす困難や問題に対して、ヨーロッパ諸国はどの程度実効的に対処できるのか。このことは、EU最大の大国であるドイツの対応に大きく左右されるといえるであろう。

16年間もの長きにわたって首相の座にあったアンゲラ・メルケルがその座から退き、新たに社会民主党(SPD)のオーラフ・ショルツが2021年12月8日に連立政権を成立させた。はたして新しいドイツの連立政権は、メルケル政権の対外政策の基本路線を継承するのか。あるいは新しい特徴が見られるようになるのか。国際論壇ではこの点をめぐっても、いくつもの論考が見られた。

メルケル政権で国防相を務め、一時期はメルケルの後継者と見なされた時期もあったアンネグレート・クランプ=カレンバウアーは、インタビューの中で防衛上の観点から、ヨーロッパで論じられている「戦略的自立」に警鐘を鳴らす(4-①)。クランプ=カレンバウアーは、アフガニスタンからの米軍撤退を契機にヨーロッパ諸国でアメリカへの信頼が低下して、ヨーロッパが独自の軍事行動をとることへの積極的な見解が見られるようになったことに対して、否定的な姿勢である。むしろこれを契機にアメリカとの協力関係を強化することを提唱し、ヨーロッパがアメリカから離れていくことへの警告を発する。さらにはAUKUSをめぐるフランスの不満や苛立ちに共感を示しながら、フランスが米英豪3 国との対話を強化することで不信感を乗り越えていく必要があるという。重要な指摘であろう。

シンガポールの南洋工科大学のリサーチ・フェローを務めるドイツ人アジア専門家のフレドリック・クリームは、新しく成立することが想定されていた「信号機連合(SPD、緑の党、自由民主党=FDP=各党のイメージカラー3色の組み合わせがこのように称される)」において、メルケル政権よりも強硬な対中政策が示されることを予期し、それによってドイツがアメリカやイギリスなどと積極的に協力関係を構築できると見通している(4-②)。これまでのメルケル政権はどちらかというと、経済的な利益を重視する観点から、中国との関係では過度に強硬になることを回避して、アメリカとは一線を画する政策を示してきた。しかし実際、ショルツ内閣が組閣されてからは、クリームの見通したような傾向がしばしば見られるといってよい。

欧州外交問題評議会(ECFR)の研究員であるヤンカ・オルテルとアンドリュー・スモールの2人による「ドイツの新たな中国政策」と題する論考は、これを具体的に示している(4-③)。「信号機連合」の3党連立政権の連立協定を見ると、対中政策をめぐって台湾の困難な情勢や、新疆における人権侵害、香港における民主化の抑圧など、中国に対する厳しい姿勢が見られる。また、ドイツの経済界においても従来とは異なり、ここ2、3年で中国に対する見方が大きく修正されたことが指摘されている。連立協定では、ドイツの主要なパートナーとしてフランスとアメリカがあげられている。両国ともに、近年厳しい対中政策を展開していることからも、ショルツ政権の下でドイツがそれらと乖離した対外政策を示すことは考えがたい。このように、依然としてドイツ新政権の外交方針は明確ではないものの、メルケル政権と比較して新しい中道左派政権が過度に親中路線となることはなさそうな見通しだ。

5.台湾防衛は可能か

国際論壇においてもっとも緊迫感を持って取り上げられている論点は、台湾防衛である。中国が攻勢をしかけ、かつてない水準で台湾への圧力を強める中で、はたして台湾を防衛することが可能かどうか、またアメリカがどの程度台湾防衛へと明確なコミットメントを示すべきかをめぐって、さまざまな議論が見られた。

10月28日の中国の『環球時報』紙の社説では、「米軍の台湾駐留は越えてはいけないレッドラインだ」と題して、もしも米軍が台湾駐留を決定すればそれは一線を越えたことになり、中国はいずれ台湾に武力で制裁を加えねばならないと警告を発する(5-①)。これは、台湾の蔡英文総統がCNNとのインタビューで語った内容をもとにしたものであり、そこでは訓練目的で米軍が台湾に駐留したことを初めて明らかにした(5-②)。この社説では、そのような米台の行動が「サラミ戦術」として現状変更を企てる試みであり、戦争を誘発する危険な行為であると論じる。中国の反国家分裂法に基づいて、そのような状況を放置するわけにはいかず、軍事力を用いて台湾の独立を阻止しなければならない。同時に、この社説は「短期的な政治ショーに流されてはいけない」と論じることで、中国の世論が加熱して政府へと軍事行動を求める圧力をかけるような状況を抑制しようとする要素も受け止められる。そして「民進党当局は袋のネズミであり、ネズミが袋を敢えて破ろうとすれば、死ぬのはネズミである」と喩えている。

他方、中国政府からの圧力が強まる中、台湾政府はアメリカの台湾へのコミットメント強化を歓迎している様子である。台湾国防部系の国防安全研究院国防戦略与資源研究所所長の蘇紫雲(Su Tzu-yun)とのインタビュー記事で、緊張感が高まっている台湾海峡へのアメリカの対応は、「建設的な戦略的明確さ」と解釈できると論じられている(5-③)。実際に、CNNでの蔡英文総統のインタビューでは、慎重に言葉を選んだ上で、台湾における米軍の存在を表明して、それを「station」(駐留)でも「residence」(駐在)でもなく、「presence」(存在)と表現した。後に訂正されたとはいえ、アメリカには台湾を防衛する責務があるというバイデン大統領の発言は、「建設的な戦略的明確さ」を示したものとここでは論じられる。中国政府の米台双方への反発と牽制、さらにはその後の軍事的圧力の増強と危機の高まりの背景には、このような動きが見られる。

アメリカの台湾に対する軍事的関与の明確化がこのようにして危機を回避し、戦争勃発を防ぐと論じるのは、エルブリッジ・コルビーである。コルビーはトランプ政権で国防次官補代理を務め、アメリカのインド太平洋戦略の策定に重要な役割を担った。コルビーは10月27日付の『ウォール・ストリート・ジャーナル』へ寄稿して、台湾や日本が防衛力を強化することで抑止力を高めると同時に、アメリカが台湾の防衛能力を向上させるためによりいっそうの関与を行うことこそが、中国を戦争という手段に訴えさせない最善の方法だと論じる(5-④)。さらに12月2日付の『ナショナル・レビュー』紙における「アメリカは台湾を防衛すべきだ」と題する論考の中でより明確に自らの見解を提示しており、台湾防衛は中国のアジアにおける覇権確立を阻止するために不可欠な前提条件であり、それはアメリカの国益でもあると論じる(5-⑤)。また、対中抑止のためにアメリカ単独では不十分であり、コルビーは台湾や日本などとの提携を強め、アメリカが中心となって「反覇権連合」を結集させる必要を説く。

このような主張は、オーストラリアの元国防次官で、現在はオーストラリア戦略政策研究所の事務局長を務めているピーター・ジェニングスの論考にも見られる(5-⑥)。ジェニングスによれば習近平は台湾を制圧することが可能となるように人民解放軍を配置しており、それが実現可能になるまで台湾は3年、アメリカは6年と見積もっている。ペンタゴンにおける机上演習では、台湾をめぐる戦争が勃発した際には、アメリカが敗北することが想定されている。このことがよりいっそう、中国の挑発的で冒険主義的な行動を可能としているのであろう。
ジェニングスは、なんとしても台湾をめぐる戦争の勃発を防ぐ必要があると論じており、そのためには戦争を勃発させることへのリスクとコストに関する習近平の計算を変えることだと論じる。すなわち、どこまで台湾軍、米軍、そして自衛隊で強力な抵抗を示すことができるかによって、抑止力を高め、習近平による冒険主義的な決断を抑制し、回避することができるのである。日米豪の3国間の協力を強化して、さらには台湾政府の主張に国際社会が耳を傾ける機会が増えれば、中国政府にとっては戦争という選択肢がより難しくなるであろう。ジェニングスによれば、北京が台湾を統一するという願望を諦めることがないのは明らかだが、軍事行動のコストが著しく高いと認識するようになれば、そのような決断を将来の世代に委ねることになるであろう。抑止は平和を担保するが、宥和は必ず戦争に帰結するというジェニングスの主張は、上に述べたコルビーの議論とも繋がっている。また、実際に蔡英文総統がCNNのインタビューを受けたり、『フォーリン・アフェアーズ』誌において台湾の民主主義を守るために国際社会が結束する必要を説いたりしていることは、それだけ中国からの圧力が増大していることの証左でもあるのだろう(5-⑦)。

とはいえ、そのような緊張が高まる中で、あえてアメリカが台湾防衛を行うべきではないと主張する議論も見られる。バーミンガム大学のパトリック・ポーター教授は、中国の台湾統一の意思は揺るぎなく、意思は堅固であり、抑止は難しいと主張する(5-⑧)。むしろ、台湾防衛よりも、アジアにおける中国の覇権確立を阻止することに注力するべきだと論じる。ポーターによれば、「中国にとっての台湾は、アメリカにとってのテキサス」のようなものであり、国内政治的な理由からも容易に退却することは不可能だ。中国が台湾統一を明確に希求している以上、対中抑止が成功する可能性は低く、戦争の危険性からもアメリカ国内で台湾関与からの後退や、アジアへの軍事駐留からの撤退を求める声が強まるだろうと論じる。いわば、ポーターは、中国による台湾統一を所与の前提として、それ以外の領域で中国の覇権に対抗する必要を説いている。

はたして、台湾情勢をめぐり今後中国政府とアメリカ政府はどのように動くであろうか。また台湾は次の総統選挙を通じて、どのような指導者、そしてどのような対中政策を求めるであろうか。依然として不透明な領域が大きいながらも、台湾情勢をめぐり米中間の緊張が高まる中で、台湾に近隣する日本はそれらに無関心、無関係でいることはできないのではないか。

【主な論文・記事】
1.バイデン政権の民主主義サミット

Tom Standage, “Ten trends to watch in the coming year(来年の世界の10大テーマ)”, The Economist: The World Ahead 2022, November 8, 2021, https://www.economist.com/the-world-ahead/2021/11/08/ten-trends-to-watch-in-the-coming-year
Richard Fontaine and Jared Cohen, “Biden’s Democracy Summit Needs to Produce More Than a Bland Statement(バイデンの民主主義サミットは当たり障りのない声明以上のものを作り出す必要がある)”, Foreign Policy, November 12, 2021,https://foreignpolicy.com/2021/11/12/biden-democracy-summit-china-russia-authoritarianism/
Stephen M. Walt, “Biden’s Democracy Summit Could Backfire(バイデンによる民主主義サミットは裏目に出るかもしれない)”, Foreign Policy, December 8, 2021, https://foreignpolicy.com/2021/12/08/bidens-democracy-summit-could-backfire/
 「社评:美台借“民主峰会”逞能,但又有点怂(社説ー「民主主義サミット」での米台の姿勢は、見た目よりも軟弱である)」、『环球网』、2021年11月24日、https://opinion.huanqiu.com/article/45iWDlABC4v
Anatoly Antonov and Qin Gang, “Russian and Chinese Ambassadors: Respecting People’s Democratic Rights(ロシアと中国の駐米大使ー人民の民主的権利を尊重せよ)”, The National Interest, November 26, 2021, https://nationalinterest.org/feature/russian-and-chinese-ambassadors-respecting-people’s-democratic-rights-197165

2.AUKUSが生み出す新しい戦略環境

Alessio Patalano, “AUKUS and the dawn of realpolitik minilateralism in the Indo-Pacific(AUKUSとインド太平洋でのレアルポリティーク的なミニラテラリズムの夜明け)”, NIKKEI Asia, October 13, 2021, https://asia.nikkei.com/Opinion/AUKUS-and-the-dawn-of-realpolitik-minilateralism-in-the-Indo-Pacific
Claudia Major and Nicolai von Ondarza, “Afghanistan, AUKUS, and Albion(アフガニスタン、AUKUS、アルビオン)”, Internationale Politik, October 4, 2021, https://ip-quarterly.com/en/afghanistan-aukus-and-albion 
Yogesh Joshi, “AUKUS can strengthen India’s strategic autonomy(AUKUSはインドの戦略的自律性を強化できる)”, The Strategist, October 12, 2021, https://www.aspistrategist.org.au/aukus-can-strengthen-indias-strategic-autonomy/
William Choong and Sharon Seah, “Why AUKUS Alarms ASEAN(AUKUSがASEANを不安にさせる理由)”, Foreign Policy, October 19, 2021, https://foreignpolicy.com/2021/10/19/asean-aukus-china-us-rivalry/

3.ヨーロッパのインド太平洋関与

Stephen M. Walt, “Will Europe Ever Really Confront China?(ヨーロッパははたして本当に中国に対抗するつもりなのか?)”, Foreign Policy, October 15, 2021, https://foreignpolicy.com/2021/10/15/will-europe-ever-really-confront-china/
Walter Russell Mead, “In Europe, Confusion Reigns About the U.S.(欧州では、米国についての混乱が続いている)”, The Wall Street Journal, October 25, 2021, https://www.wsj.com/articles/america-europe-confusion-trump-alliances-aukus-11635195241?mod=opinion_featst_pos1
Hanns W. Maull, “The Gaps in the New Regional Security Architecture for the Indo-Pacific(インド太平洋地域の新しい安全保障構造における間隙)”, The Diplomat, October 16, 2021, https://thediplomat.com/2021/10/the-gaps-in-the-new-regional-security-architecture-for-the-indo-pacific/
Anders Fogh Rasmussen, “Europe’s Complacency Heightens the China Challenge(ヨーロッパの自己満足が中国の脅威を高めている) ”, The Wall Street Journal, October 10, 2021, https://www.wsj.com/articles/europe-china-russia-afghanistan-aukus-partnership-indo-pacific-11633884797
Veerle Nouwens, “Why Europe’s Enhanced Military Presence in the Indo-Pacific Is an Asset(インド太平洋における欧州の軍事的プレゼンス強化が資産となる理由)”, Internationale Politik, October, 2021, https://ip-quarterly.com/en/why-europes-enhanced-military-presence-indo-pacific-asset 
Josep Borrell, “A Strategic Compass for Europe(ヨーロッパのための戦略的羅針盤) ”, Project Syndicate, November 12, 2021, https://www.project-syndicate.org/commentary/eu-strategic-compass-by-josep-borrell-2021-11

4.メルケル後のドイツ外交

Florian Eder and Laurenz Gehrke, “German defense minister warns Europeans: Don’t detach from NATO(ドイツ国防相、欧州諸国に警告。NATOから離れてはいけない)”, Politico, October 21, 2021, https://www.politico.eu/article/germany-defense-minister-annegret-kramp-karrenbauer-eu-nato/?fbclid=IwAR1BvEKaYoHnDbAHPPOAEPHbBeVfJZEVLTNl1HPViVyNW8sEWdi7IVsLVeo
Frederick Kliem, “Germany set to toughen China stance under new coalition(新たな連立政権のもと,ドイツは強硬な対中スタンスへと向かう)”, NIKKEI Asia, October 3, 2021, https://asia.nikkei.com/Opinion/Germany-set-to-toughen-China-stance-under-new-coalition
Janka Oertel and Andrew Small, “Germany’s new China policy(ドイツの新たな中国政策)”, European Council on Foreign Relations, December 8, 2021, https://ecfr.eu/article/germanys-new-china-policy/

5.台湾防衛は可能か

「社评:美军不得驻台,这是不可逾越的红线(社説ー米軍の台湾駐留は越えてはいけないレッドラインだ)」、『环球网』、2021年10月28日、https://opinion.huanqiu.com/article/45MA8Koc8zy
「總統接受『美國有線電視新聞網』(CNN)專訪(総統はCNNのインタビューを受けた)」、『中華民国総統府』、2021年10月28日、https://www.president.gov.tw/NEWS/26294
「专访:美国对台战略趋清晰 台湾四个月兵役已够(インタビュー:米国の台湾戦略が明確になりつつある 台湾の4ヶ月の兵役は十分)」、『德國之聲』、2021年10月28日、https://www.dw.com/zh/%E4%B8%93%E8%AE%BF%E7%BE%8E%E5%9B%BD%E5%AF%B9%E5%8F%B0%E6%88%98%E7%95%A5%E8%B6%8B%E6%B8%85%E6%99%B0-%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E5%9B%9B%E4%B8%AA%E6%9C%88%E5%85%B5%E5%BD%B9%E5%B7%B2%E5%A4%9F/a-59651015
Elbridge Colby, “The Fight for Taiwan Could Come Soon(台湾を守る戦いはすぐそこかもしれない)”, The Wall Street Journal, October 27, 2021, https://www.wsj.com/articles/the-fight-for-taiwan-could-come-soon-china-navy-defense-11635349097
Elbridge Colby, “The United States Should Defend Taiwan(アメリカは台湾を防衛すべきだ)”, National Review, December 2, 2021, https://www.nationalreview.com/magazine/2021/12/20/the-united-states-should-defend-taiwan/
Peter Jennings, “Stronger deterrence will avoid war over Taiwan(より強い抑止は台湾での戦争を避ける)”, The Strategist, October 18, 2021, https://www.aspistrategist.org.au/stronger-deterrence-will-avoid-war-over-taiwan/
Tsai Ing-wen, “Taiwan and the Fight for Democracy: A Force for Good in the Changing International Order(台湾と民主主義のための戦いー変化する国際秩序における善の力)”, Foreign Affairs, November/December 2021, https://www.foreignaffairs.com/articles/taiwan/2021-10-05/taiwan-and-fight-democracy
Patrick Porter, “The United States Should Not Defend Taiwan(アメリカは台湾を防衛すべきではない)”, National Review, December 2, 2021, https://www.nationalreview.com/magazine/2021/12/20/the-united-states-should-not-defend-taiwan/

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