2024年1月17日、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)と韓国東アジア研究院(EAI)の共催により、「日韓2050プロジェクト」の最終報告会が韓国・ソウルで開催されました。
本プロジェクトは、日韓両国が直面する共通の課題に対し、2050年を見据えた協力の可能性を探求するもので、安全保障、経済、先端技術、気候変動、人口問題といった幅広いテーマを取り扱いました。当日は専門家や政策立案者、学識者が一堂に会し、未来志向の協力戦略について活発な議論が行われました。
開会式ではジュ・ホヨン韓日議員連盟会長が祝辞を述べました。主なセッションと議論の内容は以下の通りです。
1. 軍事安全保障
韓国側からは、チョン・ジェソン教授(ソウル大学)が、北東アジアの安全保障環境における戦略的競争と同盟関係の長期的動向変化の可能性について分析しました。また日本側からは、APIの小木洋人主任研究員が、日韓間の地政学的不均衡を是正するための「基盤的協力」枠組みを提案しました。
2. 経済安全保障
寺田貴教授(同志社大学)は、日韓の外交・経済・金融の「3+3」閣僚対話を制度化することで、貿易や供給網の課題に対応する重要性を訴えました。一方、イ・ジョンファン教授(ソウル大学)は、経済的断片化への対応や、新技術の共同開発を通じた協力の可能性について議論を展開しました。
3. 先端技術とAI
韓国のパク・ソイン教授(漢陽大学)は、科学とAIの相互作用がもたらす革新の可能性について共有し、塩野誠氏(地経学研究所新興技術グループ長)は、AIの倫理的利用を保証するための日韓協力ガイドラインの策定を提案しました。
4. 気候変動とエネルギー
原田大介氏(JOGMEC)は、日本における脱炭素化への取り組みや、水素エネルギーの可能性について解説しました。また、イム・ウンジョン教授(公州大学校)は、カーボンニュートラル達成に向けた現実的な協力戦略を提言しました。
5. 人口と文化
ハン・ジュン教授(延世大学)と相良祥之主任研究員(API)が、人口減少問題とAIを活用した新たな社会構築の可能性について報告しました。また討論では、若者の役割が日韓協力を推進する鍵であることが強調されました。
今後の展望
閉会挨拶では、神保謙氏(APIプレジデント)が「日韓協力が地域を超えてグローバルな課題解決に貢献するための重要な枠組みとなるべきである」と述べ、ソン・ヨル所長(EAI)が「持続可能な協力体制の構築が必要である」と締めくくりました。
本報告会は、日韓2050プロジェクトの成果を広く共有し、政策提言への第一歩となる重要な場となりました。今後、セッションの詳細な内容と政策提言をまとめた報告書が公表される予定です。