地経学研究所(IOG、所長:鈴木一人)は、G7広島サミット2023に向けて、5月11日に外務省経済安全保障政策室、13日に内閣官房国際広報室に、経済安全保障における「9つのチェックポイント」を提出しました。
内容としては、「経済安全保障の手段は、ルールに基づく国際秩序と一貫性を持たせるべき」(Item1)、「G7各国のサプライチェーン強靭化のために信頼できるサプライチェーンネットワークを構築すべき」(Item2)といった経済安全保障のあるべき原則を述べたものです。
このチェックポイントの作成にあたっては、5月2日(火)、G7とEUに本部を置く各国シンクタンク、大学の研究所、在京大使館の関係者を招いて、オンライン会合を実施の上、出席者からフィードバックを頂きました。オンライン会合に出席したシンクタンク、および大学の研究所は以下の通りです。
・アメリカ:戦略国際問題研究所(CSIS)
・カナダ :トロント大学・ムンク国際問題・公共政策研究所
・オランダ:クリンゲンダール・オランダ国際関係研究所
・ドイツ :メルカトル中国研究所(MERICS)
・フランス:モンテーニュ研究所
更にオンライン会合などで頂いたコメントの中には、現状、G7各国において、統一された経済安全保障に関する解釈がなく、WTOルールに対する考え方も異なることが課題であるため、今後、G7各国で経済安保の概念を具体化させ、コンセンサスを得る必要があるとの意見もございました。こうした点を地経学研究所としても意識して参ります。
地経学研究所は日本発のシンクタンクとして、引き続き海外シンクタンクと連携し、活動をリードしながら政策提言を続けて参ります。
関連コンテンツ
今年の5月、日本が議長国として広島G7サミットを主催する。ロシアのウクライナ侵略が続く中での、戦争の最中での異例のサミットとなり、自由民主主義諸国が結束してロシアへの制裁を維持し、ウクライナの支援を継続することが重要となる。日本政府は、「法の支配による国際秩序」の維持、強化を重要な共通課題として提起している。だが、戦争が長引くとともに、G7各国の国内でも不満が鬱屈して、制裁や支援の継続が困難になる可能性もある。そのために、どのように課題に向き合うのか。日本はどのような指導力を発揮すべきか。
地経学研究所(IOG)は、APIのプロジェクトを引き継ぎ、昨年に続いて2回目となる経済安全保障100社アンケートを実施しました。ウクライナ情勢を受けて、対ロ制裁は企業のコスト増や事業の将来性など経済活動に様々な影響を及ぼすとともに、米中対立や台湾有事への危機意識も高まっています。そのような中で、日本企業は、情報管理の強化やサプライチェーン強靭化など、安全保障と経済活動のはざまで苦悩しつつ様々な取組を進めています。経済安全保障をめぐり、企業は何を課題とし、どのように対処しようとしているのか、アンケートの結果などを踏まえて考察を深めます。