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コロナ民間臨調、小池百合子東京都知事に特別インタビューを実施

『新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)調査・検証報告書』を発表した一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)は、11月27日、小池百合子東京都知事にインタビューを行った。国民への発信、リスクコミュニケーション、世界への発信、国と地方の連携などについて、東京都の感染対策をリードしてきた小池都知事が語った。東京都庁で実施したインタビューの概要は以下のとおり。

――小池都知事は3月23日に「ロックダウン」に言及されました。西村コロナ担当相は私どものインタビューにおいて、欧米のように強制力を伴う措置を取ることができるとの誤解を与えてしまう恐れがあり、これにより緊急事態宣言発出が遅れてしまった部分があると思う旨、お答えになりました。どう受け止められましたか。

驚きですよね。ロックダウン、クラスター、オーバーシュートなど、私はもともと知らなかった言葉です。当時、東京都としてどうすべきか判断する際、政府の専門家会議の議論を参考にしながら、そこで出てきた言葉を引用していたまでで、私の言葉というわけではまったくないんです。「3密」についても、専門家が言っても広がらなかったのが、私が発言して広がったと言われています。政府の発信力が弱いんじゃないでしょうか。

それは今も続いていると思います。感染症の世界は専門的で用語も難しい。みなさんに行動してもらわないといけないので、できるだけ私は発信に工夫をするんです。それを私のせいにするかのような発言をされるのは、政府としていかがなものかと思います。その姿勢は今も続いているんじゃないでしょうか。

政府が持つ責任をしっかり持ちながらやらないと、政策に対する信頼を得るという目的につながらないんじゃないかと思います。

最近は政府の事務方(内閣官房コロナ室)から「もう少し知事に強い言葉で発信してもらえないか」というご要請も来ています。

――ロックダウン、またおっしゃられますか。

もし政府が私に言ってほしいのであれば。政府から委託を受けて、政府がこう言っています、ということであれば。

要は、リスクコミュニケーションの問題です。私が対応してきた中で、つくづく思いましたのは、世界が日本をどう見ているかという視点がまったく欠けていることです。

ダイヤモンド・プリンセス号について、大変心配しながら事態を見ていました。東京に着岸するかもしれないという想定もあったので、東京都交通局が移動用のバスを用意したり、感染防護をどうするか、運転手たちの協力が得られるかなど、アレンジはほぼ済んでおりました。そうすると(東京都の協力は)いりませんという連絡を受けた。たぶん(政府は)いろんなところに声をかけていたのではないかと思います。それはそれで、都としてできることはするという対応でした。

あの時、CNNやBBCを見ておりましたが、ダイヤモンド・プリンセス号に防護服を着た人たちが物々しく出入りする様子しか映さないわけです。

湾岸戦争の時に、ネタニヤフ(現イスラエル首相)がCNNに出っぱなしで、イスラエルの立場や、どう国を守るかなど、弾丸のように話していたことを覚えています。

ダイヤモンド・プリンセス号のときも、船の前に演台でも設置して、英語が話せる厚労省あるいは外務省の職員をひとりスポークスマンとして置いて、今日の状況はこうで、こう対応していますと、英語での海外への発信をどうしてやらないのだろうかと思っていました。そうしないと日本は怖い国という印象になってしまうわけです。そういった配慮がまったくされていなかったのは、とても残念に思っておりました。

海外では検査をドライブスルーでやってますなどと情報発信していて、さあ、日本は何を発信するかと考えました。私は海外の記者たちに声をかけて(軽症・無症状者向けの)宿泊療養施設について報道してもらったんです。宿泊療養施設を、医師に来てもらい看護師にも常駐してもらって、病院に準ずる療養施設に位置づけるよう政令で定めてもらいました。これが(感染拡大している)いま、バッファーになっているんです。陽性者を全て入院させていると病院は軽症・無症状者であふれてしまいます。隔離が重要なので、医師の観察や看護師の相談を受けられる体制を整えておけば、ホテルでも十分機能するわけです。いま東京都では毎日400人ペースで陽性者が報告されていますが、全員が入院されると病院がパンクしてしまいます。他の疾病を抱える方々も必要な治療を受けられなくなってしまう。ですからホテルを療養施設にして、そこに(人型ロボットの)ペッパーやお掃除ロボットなど日本のIT技術で動くものも置いて、報道してもらいました。

世界中がコロナと戦っているなかで、日本はどう戦っているのか。その戦いぶりを世界に伝える、世界への発信材料を考えないといけません。それなのに日本の中で、あの言葉はどうだとか、そういった内々の発信というのはどうかなと思いますね。国の品格に関わります。

――4月に緊急事態宣言が発出されたとき、東京都は休業要請の範囲について、かなり早い段階から準備をされていました。行動制限を課していくときに、特措法の建付け、そして休業要請の対象業種について、どのように考えておられましたか。

特措法は建付け自体が旧仕立てで、とにかく成立させることが目的でした。私も国会の現場は分かるので、その事情はわかります。

一方で、感染症の実体がわからないなかで、人から人へと感染するものであれば、感染の機会をできるだけ減らすのは自明の理なわけです。しかし業界団体の長や、実際にそこで働いている方々、わかりやすく言えば理美容関係の方々は、人と人とで接触しなければ仕事になりません。経営者のほうは店を閉じるのは厳しい、他方で、働く人達は怖い、ということで、どちらを取るかという判断もありました。結果的には開くことになりましたが、やりとりの中で、消毒やマスク着用などは完璧にしてください、そうでないと働く人たちが不安になりますから、というコミュニケーションはこちらから取っていたつもりです。

また、休業要請の範囲について、国の基準だと施設名が古い表記でした。現場を知っている東京都でまず休業要請範囲を決め、それを政府に持ち込んで協議しました。それがデファクトになって、国から全国に広がっていきました。

――東京都としては自粛要請や休業要請を厳しく行う意向があった一方、政府は段階的な引き上げを求めていました。

それは後藤新平から学ぶべき問題なんです。日清戦争のとき、彼は帰還する20数万人の兵士が当時流行していたコレラを持ち帰ってくるかもしれないということで、瀬戸内海の島々に隔離して検疫を実施し、徐々に帰していったわけです。

後藤新平は「大風呂敷」として有名な人でした。関東大震災後に(帝都)復興院総裁になったときも、破壊された首都・東京を立て直すため、いまの明治通りから山手通り、行幸通りなど一気に引くため、国家予算級のお金をかけるべきだと言ったんです。そうすると国会で、今も同じようなことがあると思いますが、これはいらない、あれはいらないと削っていって、当初の発想から3分の1くらいになった。あのときの「大風呂敷」が実現していたら、東京の道の狭さも、もっと解消されていただろうにと思います。

危機管理など大きな物事をやるときは、まず大きく広げて、そこからだんだん狭くしていくことが人々の安心にも繋がります。疫病のときは特にそうです。

後藤新平は第7代東京市長でした。私は後藤新平から、歴史から、多くを学んでいます。

――「GoToトラベル」も含め、国と自治体のどちらが権限・責任を持って判断すべきなのかという問題があります。都知事はどのようにお考えですか。

国がやりにくくなって地方に押し付けるということが起こりがちなのは、私も国で行政をやっていたのでわかります。ですが、ここは連携することが一番のポイントになってきます。国の施策と、その効果を出していくためのラポール(意思疎通)も必要になってきます。政策の設計に責任を負うべき人がいて、それを実行する際のさまざまな権限や財源、これは現場に任せるべきと思います。ただ、ときに国はこれをいいように使いますね。

私が行政で最初に担当したのは、総務政務次官として地方分権と規制緩和でした。あのとき中央省庁の権限に対して、地方でやる気のある首長が足を引っ張られるのを見て、地方分権は、国が責任を持ってやる部分に加えて、やる気のある首長をどう伸ばすかが重要だということがわかりました。そうでないとみんな交付金漬けになって足腰が弱くなり、地方分権という言葉ばかり言っている間に地方の力がなくなってしまいます。いま(地方交付税交付金の)不交付団体は東京都だけですからね。

――区の保健所との連携で苦労されたところはありますか。

(保健所は)区長がトップに立っていて、それは政令指定都市と同じで地方自治法によって変わっているんです。ですから指示系統の問題というのはありました。ただ、今は東京都が広域ということで、全体を見ながら進めています。

また、都と区の保健所という問題だけでなく、医系の人と行政の人の間で話す「言語」が違う問題もあると思います。

――今回のコロナ対応の中で、一番苦労したポイントは。

デジタル・トランスフォーメーション(DX)の遅れは諸外国に比べて非常に厳しい。オンライン教育やテレワーク、会議など、他国に比べて遅れが目立ちました。私は見えない敵を見えるようにする、というつもりで、DXを徹底して進めています。DX推進は前から考えていたことですので、ヤフー株式会社・元会長の宮坂学氏に副知事をお願いして、かなり進めています。

――都と保健所の間の指示系統や連携について、現在広がりつつある流行への対応で問題はありませんか。今度は大丈夫ですか。

保健所は陽性と判明した方々の接触追跡など目の前のことを考えるのが役目で、病床の状況を把握し全体を判断するのは都の役割です。現在では、これらの点と線と面がかなりつながって対応できるようになってきています。都の職員も応援やリエゾンで入っていますし「第二保健所」というものも作りましてトレーサー(接触追跡担当者)をかなりの規模で入れています。新たに雇った40名以上のトレーサーも今日(11月27日)から稼働予定です。

感染経路不明の症例を減らすことが、みんなの不安を軽減する。協力関係はかなり強まっています。

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