アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)は2025年10月14日、英国チャタムハウス(王立国際問題研究所)の特別研究員であり、元所長兼CEOのロビン・二ブレット卿をお迎えし、ラウンドテーブルを開催しました。
冒頭の講演でニブレット卿は、アジア太平洋地域における勢力バランスの変化について、ヨーロッパとアジア太平洋の安全保障環境を比較し、ヨーロッパにはより確立された安全保障・防衛の枠組みが存在する一方で、アジアは制度面で柔軟性が高いと指摘しました。さらに、トランプ政権再登場の可能性や2028年以降の米国外交政策の方向性が、同盟関係や地域の安全保障に与える影響についても言及しました。その上で、中国の役割の変化、台湾有事の戦略的重要性、そして地域の安定と繁栄を確保するために各国が取り得る多様なアプローチを提示しました。また、地域の安全保障と経済協力を推進するうえで、日本が果たすべきリーダーシップの重要性も強調しました。
議論はアジア太平洋にとどまらず、米中間の地政学的・地経済的な競争が激化するなかでの日欧協力の意義にも広がりました。ヨーロッパと日本の連携強化が、国際秩序の維持と地域の安定において重要な役割を担うとの見解が示されました。
後半部分では、APIの専門家とニブレット氏による活発な意見交換が行われ、ヨーロッパと日本それぞれの視点から戦略課題を議論する貴重な機会となりました。議題には、ルールに基づく国際秩序の強靭性、同盟関係のマネジメント、さらなる地域間連携の可能性などが含まれました。




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