新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年、国際文化会館プログラム部門、地経学研究所(IOG)、アジアパシフィックイニシアティブ(API)は、それぞれ革新的な発展を遂げ、さらなる進化を目指しています。
地経学研究所(IOG)は、インハウス研究員を中心とする研究基盤を強化し、多くの研究コンテンツを公開し、産官学を結ぶ知の拠点の役割を高めました。アジアパシフィックイニシアティブ(API)は、地経学研究所とともに米欧アジアの研究機関との国際連携を深め、政策研究・提言の発進力を高めています。
政策起業家プラットフォーム(PEP)は、気候テックやサステナビリティをテーマに、スタートアップと多様なセクターを結びつける役割を強化しています。またシリコンバレー・ジャパン・プラットフォーム(SVJP)も、シリコンバレーの革新的エコシステムと日本の経済界のリーダーを結びつけ、日米の信頼と連携を深化させています。
アート・デザイン部門では、アートと文化・技術・政治経済を繋ぐ「異種間クロストーク」を新たに立ち上げ、分断する世界に向き合う文化・芸術の役割を追求しています。また次世代人材育成にも力を入れ、新渡戸リーダーシッププログラム、アジアリーダースフェローシップ、海外シンクタンク派遣フェローの新設など、新しい試みもスタートさせました。
2025年、国際文化会館プログラム部門は、以下の3つの重点領域に注力します。
第1に、プログラム4分野(国際関係・地域研究・地政学/社会システム・ガバナンス・イノベーション/文明論・哲学/アート・デザイン)の相互連携を深めつつ、プログラムの規模と活動内容を拡充いたします。
地経学研究所は「米トランプ政権と向き合う世界」を特集テーマとして設定し、世界の動向を分析します。また年後半には「Geoeconomic Summit」を開催し、世界から地経学分野のリーダーが集う政策フォーラムを拡充いたします。APIはインハウス研究基盤を抜本的に強化し、IOGとともにシンクタンク機能をさらに深化させます。
第2に、国際連携を強化します。現在、IOGとAPIは8カ国14研究機関と連携し、13の共同プロジェクトを展開しています。本年は国際文化会館の戦略連携の強化とともに、米ニューヨークに本部を置くジャパン・ソサエティとの共同事業や、アジア太平洋地域の研究機関との政策対話など、さらに多様な展開を予定しています。
第3に、次世代の人材育成です。インハウススタッフの能力強化に加え、英国、シンガポール、韓国へのフェロー派遣を通じ、国際的に活躍できるシンクタンカーの育成を推進します。また新興技術と政策を担う人材育成や、海外研究者受け入れの拡大も検討しています。
分断が深まり、不透明さが増す世界において、非営利民間団体の役割はますます重要です。国際文化会館プログラム部門は、支援者・会員の皆さまとともに、その役割を果たしてまいります。引き続きご指導・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
国際文化会館常務理事
APIプレジデント 神保謙