政府事故調による福島第一原子力発電所前所長・故吉田昌郎氏の聴取結果書(いわゆる「吉田調書」)は、福島原発危機の真実を知るうえで貴重なドキュメントです。吉田所長は生前、危機対応の全体像が明らかにならないうちに自らの言葉が独り歩きしてしまうことを恐れ、聴取の前提として結果書の非公開を求めていました。しかし、日本政府は2014年に非公開の方針を転換し、9月11日に調書を公開しました。
日本再建イニシアティブ(RJIF)は、調書が公開された以上、それを吉田所長の「遺言」と受け止め、そこに収められた彼の「肉声」から当時の危機対応の真実をつかみだし、教訓を引き出さなければならないと考えて、解読を試みました。残された私たちがそこから教訓を引き出してこそ「遺言」は歴史的意味を持つのです。
報告書は3部構成で、第1部はRJIFの船橋洋一理事長による吉田調書の解読、第2部はプロジェクトメンバー4人による民間事故調報告書発表後3年の振り返り、第3部は2月4日に行ったイベントでの大学生との議論の模様を収録しています。
著者:日本再建イニシアティブ 民間事故調査会検証チーム
発行者:日本再建イニシアティブ
初版:2015年2月27日
ISBN-13: 978-4809677953
発売日: 2015年8月3日