【開催報告】「台湾とウクライナ 挑戦する権威主義」


アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)は、米国スタンフォード大学アジア太平洋研究センター・ジャパンプログラム及び読売新聞社と共に、2023年1月16日、国際文化会館において「台湾とウクライナ 挑戦する権威主義(読売国際会議)」を開催しました。当日は約80名の会場参加者とともに、延べ600名ほどがオンラインで参加し、熱気あふれる会合となりました。

第1部「今そこにある紛争の危機(台湾とウクライナ)」

マイケル・マクフォール・スタンフォード大学教授、オリアナ・マストロ同大学フリーマン・スポグリ国際研究所(FSI)センターフェロー及び神保謙APIプレジデント(モデレーター)をパネリストとする第1部では、今日の国際秩序を大きく揺るがすロシアによるウクライナ侵略と中国による台湾への軍事的圧力強化について、抑止政策への教訓を中心に、闊達な議論が行われました。

対露外交を専門とするマクフォール氏は、ロシアの侵略を抑止できなかった理由として、ロシアが侵略に伴う損失を過小評価したこと、そして米国や西側諸国が侵略コストを明示できなかったことを強調しました。

また、中国軍事を専門とするマストロ氏は、中国の台湾侵攻を抑止するためには、米国や日本が、軍事作戦上の変化をもたらすような防衛力強化を、中国が認識できる形で、紛争が生じる前に行うことが必要だと話しました。

そのほか、ウクライナ戦争の行方、経済制裁の実効性、対中抑止のために強化すべき防衛力、中国がウクライナから学び取る教訓についても活発な議論が展開されました。

第2部「台頭する権威主義の懸念」



フランシス・フクヤマ・スタンフォード大学教授、ラリー・ダイアモンド同大学教授及び筒井清輝同大学教授(モデレーター)をパネリストとする第2部では、権威主義国家の台頭などにより民主主義が挑戦を受ける中、ウクライナ戦争や台湾危機も踏まえた民主主義政治の変容について、刺激的な議論が行われました。

フクヤマ氏は、ロシアによるウクライナ侵略の動機について、NATO拡大といった安全保障上の脅威ではなく、スラヴ諸国に民主主義が広がったことによるロシア国内政治への脅威に見出しました。

また、民主主義研究を専門とするダイアモンド氏は、国内政治の分断や政治と金の問題など懸念すべき事項は継続するものの、米国政治におけるトランプ氏の影響力低下、中国、ロシアといった権威主義国家の内政・対外政策上の失敗などを受けて、世界の民主主義は数年前と比べて良い状態にあると分析しました。

そのほか、米国政治の分断を回避するための新たな投票制度の導入や、米国政治思想における自由主義の行方、現在の中台危機と1930年代の欧州との相似性など、多角的な視点から共振する国内政治と国際政治が語られました。

APIは、今般の会合における議論の成果も踏まえつつ、今後とも、多様な世界との知的対話、政策研究、文化交流を促進することにより、自由で、開かれた、持続可能な未来をつくることに貢献していきます。