失われた20年の検証

バブル崩壊後の20年間、日本はなぜ停滞から抜け出せないのでしょうか。このプロジェクトでは、国内外のエキスパートに参画頂き、国際情勢、人口構造、労働形態、女性の生き方、世代間格差、国の財政、技術革新などの切り口から、「失われた20年」の課題と日本再建のための方策を探ります。また、日本が直面する社会的・経済的問題の多くは諸外国にも共通の課題です。こうした解決策のモデルを日本から提示することで、世界における日本の存在感を示すと共に、グローバルな課題解決への貢献を目指します。本プロジェクトは、2015年春に日英両言語で書籍を出版しました。また、2016年春まで世界各地で国際シンポジウムを開催しています。

報告書

アベノミクスによって、株価上昇、東証の時価総額の最高額更新など経済面で明るい話題を目にする機会が増えてきました。その一方で、バブル崩壊以降「失われた20年」の振返りは十分されてきたでしょうか。日本は何を間違い、何を失ったのでしょう?経済の停滞だけでなく、急激な少子化・グローバル化など、日本を取り巻く環境も大きく変化してきました。日本が直面しているこれらの課題は、欧州・アジア諸国との共通課題。日本をはじめ、世界各国が困難を乗り越えるための処方箋を、20年の検証と共に国内外の専門家が提示します。

編者:船橋洋一
出版社:東洋経済新報社
定価:2800円(+税)
初版:2015年5月29日
ISBN: 978-4492396179

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第一章 人口崩壊と削減する地方
第二章 金融・財政赤字
第三章 企業競争力(マクロ)
第四章 企業競争力(ミクロ)
第五章 グローバリゼーション(労働、雇用)
第六章 教育
第七章 福島原発事故とエネルギー政策
第八章 政治
第九章 湾岸戦争、PKO
第十章 日本の自由貿易
第十一章 失われたアジア・アジア太平洋政策
第十二章 沖縄米軍基地と日米同盟
第十三章 歴史問題
第十四章 国際社会での日本の地位
第十五章 日本と思想・価値観
第十六章 総論

国際会議の開催

2013年5月10日(金)-12日(日)、3日間にわたる国際会議を開催しました。国内外のオーサーとリサーチャー、またエディターが一堂に集い、「失われた20年」というコンセプトや各テーマについて議論が繰り広げられました。2013年1月のプロジェクト発足より個別会合を重ねてきましたが、本格的な調査や執筆活動を迎えるにあたり、プロジェクトの方向性を定め、また科学から政治まで幅広い分野の専門家から構成されるメンバーで、各章の構成や取扱いテーマについて議論を行いました。


会合1日目:全体会合

会合1日目:Break-out session

会合2日目:全体会合(ワシントンとテレビ会議)

会合3日目:全体会合

調査研究チームは、国内外の専門家により構成されています。

テーマと筆者

【人口、社会経済構造】

清家 篤 (せいけ あつし)
慶應義塾長

専攻は労働経済学。1978年、慶應義塾大学経済学部卒業、1980年大学商学部助手、1985年同助教授を経て、1992年より同教授。 2007年より商学部長、2009年より現職。 現在、労働政策審議会委員・同雇用保険部会長・同若年労働者部会長・同点検評価部会長(厚生労働省)など多数兼任。 主な著作に『60歳からの仕事』(共著)講談社(2009年)、『高齢化社会の労働市場』東洋経済新報社(1993年、1994年の第17回労働関係図書優秀賞)など受賞多数。

【財政赤字】

Adam S. POSEN
ピーターソン国際経済研究所(PIIE) 所長

クリントン、ブッシュ政権では政府機関で数多くの顧問を務める。主な専門は通貨政策と中央銀行、日本とEUの金融政策、金融危機の影響と分析など。

【金融】

Kenneth N. KUTTNER
ウィリアムズ・カレッジ 経済学部 教授

専門は、金融政策での量的金融指標・金利の役割、インフレのターゲット、 日本経済、連邦準備制度の金融政策に対する金融市場の反応など。

【金融】
祝迫 得夫 (いわいさこ とくお)
一橋大学 経済研究所 教授

財務総合政策研究所特別研究官・RIETIファカルティフェロー。1997年ハーバード大学大学院博士課程修了(Ph.D.取得)。 筑波大学社会工学系講師、一橋大学経済研究所講師・准教授、財務総合政策研究所総括主任研究官などを経て、現職。 専門はファイナンス、マクロ経済学、アメリカ金融史。 著書として『家計・企業の金融行動と日本経済-ミクロの構造変化とマクロへの波及』(日本経済新聞出版社,2012年4月)、共著書に『ポスト平成不況の日本経済』(伊藤、パトリック、ワインシュタイン編、日本経済新聞社、2005年)、『世界金融・経済危機の全貌』(植田和男 編著、慶應義塾大学出版会、2010年)など。


【企業競争力(マクロ)】

小林 慶一郎 (こばやし けいいちろう)
慶應義塾大学 経済学部 教授
キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹

1995年から1998年にシカゴ大学大学院にて経済学の教育を受け、内生的経済成長理論についての博士論文を執筆。1998年に帰国後、通商産業省において不良債権問題や景気対策について調査研究を行い、2001年より経済産業研究所にて、金融危機や景気循環に関して主に理論的な研究を行う。

【企業競争力(ミクロ)】

冨山 和彦 (とやま かずひこ)
株式会社経営共創基盤(IGPI) 代表取締役CEO

ボストンコンサルティンググループ入社後、コーポレイトディレクション社設立に参画、後に代表取締役社長に就任。 産業再生機構設立時にCOOに就任。 近著に「挫折力(PHP研究所)」、「カイシャ維新(朝日新聞出版)」、「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ(PHP研究所)」がある。

【グローバリゼーション(労働、雇用)】

Andrew GORDON
ハーバード大学歴史学部 教授

1984年、ハーバード大学で博士号取得(歴史・東アジア言語専攻)。 専門は、現代日本史で特に労働、階層、政治に精通。1991年にジョン・キング・フェアバンク賞を受賞した「Labor and Imperial Democracy in Prewar Japan」ほか著書多数。 最近では、東北地方太平洋沖地震のデジタルアーカイブを創る日米共同プロジェクトを率いている。

【政治】

待鳥 聡史 (まちどり さとし)
京都大学大学院 法学研究科および公共政策大学院 教授

大阪大学助教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校客員研究員、京都大学助教授等を経て現職。専門は比較政治。とくに、アメリカや日本など先進民主主義国家の議会における制度構造と立法過程、首相・大統領と議会の間の関係について研究を行っている。


【福島原発事故とエネルギー政策】

北澤 宏一 (きたざわ こういち)
東京都市大学 学長
独立行政法人科学技術振興機構 前理事長

日本再建イニシアティブ設立の東京電力福島第一発電所事故独立検証委員会(いわゆる民間事故調)委員長。 学術会議東日本復興支援委員会エネルギー供給問題検討分科会委員長。 専門:超伝導材料、セラミックス、磁気科学Dep

【教育】

苅谷 剛彦 (かりや たけひこ)
オックスフォード大学 社会学科および現代日本研究所 教授

ノースウェスタン大学大学院博士課程修了。 東京大学教育学研究科教授を経て、現職。 専門は、教育社会学、社会的階層分化、学校から仕事への移行、教育的・社会的政策、 戦後の社会変化。

【湾岸戦争、PKO】

Michael J. GREEN
戦略国際問題研究所(CSIS) 上級副所長/アジア・日本部長
ジョージタウン大学 外交政策学部 准教授

1994年ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院博士課程修了。クリントン政権やブッシュ政権では日米同盟の強化にかかわり、特にブッシュ政権ではアメリカ国家安全保障会議のスタッフとして日本・朝鮮担当部長、アジア上級部長を歴任した。専門は日本の政治、特に安全保障政策。

【歴史問題】

東郷 和彦 (とうごう かずひこ)
京都産業大学 教授
同大学世界問題研究所 所長

1968年東京大学教養学科国際関係論卒業。外務省に入省し、条約局長、欧亜局長、在オランダ大使等を歴任後2002年に退官。その後ライデン大学、プリンストン大学、ソウル大学等で教鞭をとり、2010年より現職。日本外交、領土問題、歴史認識問題、日本の国家目標などに関する著書、論文多数。


【日本の自由貿易】

Peter DRYSDALE
オーストラリア国立大学 クロフォード政治経済研究所 名誉教授
同大学東アジア経済研究所 所長

1967年オーストラリア国立大学博士課程修了。APECの発足と発展に大きく貢献。2001年旭日中綬章受勲。第1回アジア・太平洋賞の大賞を受賞した「International Economic Pluralism: Economic Policy in East Asia and the Pacific」ほか、著書多数。またアジア各国の有識者が寄稿するブログ・東アジア経済研究所(EABER)の代表でもある。


【日本の自由貿易】

Shiro ARMSTRONG
オーストラリア国立大学 クロフォード政治経済研究所 主任研究員

The East Asia Forum 編集者。 専門は、国際経済、アジア経済統合。


【沖縄(日米同盟)】

Sheila A. SMITH
国際問題評議会 シニア・フェロー

ボストン大学国際関係学部、ハワイ東西センター等を経て現職。日本でも日本国際問題研究所や平和・安全保障研究所、また東京大学や琉球大学での客員研究員としての経験を持つ。専門は日本の政治、外交、また最近では研究プロジェクト「China and India as Emerging Powers:Challenge or Opportunity for the United States and Japan?」を率いている。


【東アジアにおける中国】

白石 隆(しらいし たかし)
政策研究大学院大学(GRIPS) 学長
JETROアジア経済研究所 所長

東京大学東洋文化研究所助手、コーネル大学博士号取得、東京大学教養学部教養学科国際関係論助教授、コーネル大学アジア研究学科・歴史学科教授、京都大学東南アジア研究センター教授、政策研究大学院大学教授、内閣府総合科学技術会議議員を歴任。


【国際社会での日本の地位】

秋山 信将(あきやま のぶまさ)
一橋大学大学院 法学研究科および国際・公共政策大学院 教授

専門は核不拡散、核軍縮、安全保障。日本国際問題研究所客員研究員。核不拡散条約(NPT)運用検討会議日本政府代表団アドバイザー、岡田外務大臣(当時)の核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会メンバーなどを務める。


【日本と思想・価値観】

G. John IKENBERRY
プリンストン大学 ウッドロー・ウィルソン公共政策大学院 教授

1985年シカゴ大学より博士号取得。プリンストン大学助教授、ペンシルベニア大学助教授、ブルッキングス研究所上席研究員等を経て現職。


リサーチャー

相沢 伸広 (あいざわ のぶひろ)
比較社会文化研究院

専門は、インドネシア政治、タイ政治、都市化と政治、東南アジア華僑。京都大学アジアアフリカ地域研究研究科で博士号取得。インドネシア・戦略国際問題研究所(CSIS)で客員研究フェロー、政策研究大学院大学研究助手、立命館大学非常勤講師、米コーネル大学客員研究員、タイ・チュラロンコン大学客員研究員等を歴任し、2007年より現職。著書に『華人と国家—インドネシアのチナ問題』。 他、雑誌等にも多く論文を掲載。


井形 彬 (いがた あきら)
慶應義塾大学大学院 法学研究科 博士課程

ジョージタウン大学への交換留学(平和中島財団奨学生)を経て、2009年、国際基督教大学教養学部卒業(クリス和田奨学生)。 2010年、コロンビア大学大学院政治学研究科修士課程修了(国費留学生)。 福島原発事故独立検証委員会WGメンバー。 平和・安全保障研究所安全保障研究奨学プログラム第15期生。 現在、Pacific Forum CSIS・SPFフェロー、慶應義塾大学GCOE-CGCS研究員。


内山 博之 (うちやま ひろゆき)
(前)日本社会事業大学 社会福祉学部 教授

東京大学法学部卒。専門は社会保障論。


下田 啓 (しもだ ひらく)
早稲田大学 法学部 准教授

専門は日本近代史、特に地方史や戦後の歴史認識。


新國 信一 (にっくに しんいち)
ケンブリッジ大学 MBA Candidate

株式会社経営共創基盤(IGPI) マネジャーとして、電力・通信・製造・ハイテクなどの多様な業界の中堅企業や大企業に対し、戦略立案・計画策定などのコンサルティングや販売計画・管理、製品企画などのハンズオン支援業務に従事。 IGPI参画前は、マッキンゼー・アンド・カンパニーの東京及びフランクフルト事務所にて、自動車業界の国内外の企業や日本国内の公的機関等に関するコンサルティングに従事。 東京大学法学部(政治コース)卒。 2013年よりケンブリッジ大学にてMBA取得中。
 


土野 レオナード・ビクター 賢 (ひじの けん)
京都大学公共政策大学院 助教授

専門は制度論を用いた政党組織、地方・中央関係、住民自治と制度改革の研究。
元英ファイナンシャル・タイムズ東京特派員(2000-2003)。ケンブリッジ大学東洋学部日本研究 博士 (2009)。 大阪市立大学客員研究員(2010)。 スウェーデン国籍。


堀尾 健太 (ほりお けんた)
東京大学大学院 工学系研究科 原子力国際専攻 博士課程

日本学術振興会特別研究員(DC2)。 専門は原子力政策、核不拡散、核セキュリティ。 大学院在学中に国際原子力機関、日本原子力研究開発機構、外務省にて原子力政策および核不拡散政策に関する調査・研究業務に従事。 福島原発事故独立検証委員会WGメンバー


村井 哲也 (むらい てつや)
明治大学 法学部 非常勤講師

専門は、戦後日本における政治史研究。特に首相制度と官僚制度。
著書に、『戦後政治体制の起源 吉田茂の「官邸主導」』(藤原書店、2008年)がある。


Jan ZELEZNY (ヤン ジェレズニー)

日本ヒルティ株式会社 コントローリングマネジャー

大学卒業後来日。トヨタ自動車の新車進行管理部にてプロジェクトリーダーとして海外生産車両の新規車両開発及び生産準備の大日程作成、社内外調整及び進行管理に従事。その後、シティグループ証券の投資銀行本部にてテクノロジー、ITサービス、インターネット及びオンラインメディアセクターのカバレッジ業務・同セクターにおける資金調達案件及びM&A案件のエグゼキューション業務に従事。 ペンシルバニア大学ウォートン校経営学修士及びローダーインスティチュート国際関係学修士。 パラツキ―大学哲学部 世界史及び日本学修士。 チェコ共和国国籍。


アドバイザー

西崎 香 (にしざき かおる)
株式会社朝日新聞社 国際報道部 機動特派員

主な取材分野は経済。朝日新聞では静岡、仙台支局を経て、経済部で財務、経済産業、外務省などの官庁のほか、エレクトロニクスや機械、流通、サービスなどを担当。ニューヨーク、シリコンバレー、ワシントン総局特派員、国際報道部次長、朝日地球環境フォーラム主査などを経て2012年から世界経済を担当する現職。


エディター・事務局

【エディター】
Barak D. KUSHNER (バラック クシュナー)
ケンブリッジ大学 アジア・中東学部日本学科 Senior University Lecturer

ケンブリッジ大学 Faculty of Asian & Middle Eastern Studies にて日本現代史の教鞭をとる。 プリンストン大学歴史学博士号取得。著書に「The Thought War」 、「Slurp! A culinary and social history of ramen – Japan‘s favorite noodle soup」 (Brill/​Global Oriental, 2012)がある。


【プログラム ディレクター】
船橋 洋一 (ふなばし よういち)

日本再建イニシアティブ 理事長
元朝日新聞社主筆、慶應義塾大学 特別招聘教授

国際問題評議会シニア・フェロー。ボストン大学国際関係学部、ハワイ東西センター等を経て現職。日本でも日本国際問題研究所や平和・安全保障研究所、また東京大学や琉球大学での客員研究員としての経験を持つ。専門は日本の政治、外交、また最近では研究プロジェクト「China and India as Emerging Powers:Challenge or Opportunity for the United States and Japan?」を率いている。


【スタッフ ディレクター】
北澤 桂 (きたざわ けい)

日本再建イニシアティブ 主任研究員

東京大学文学部卒業。同大学大学院新領域創成科学研究科修了。ロンドン大学高等空間解析センターPhD研究員として欧州を中心にGISコンサルティングに従事。London School of Economics and Political Science にて都市政策の国際会議運営およびリサーチを担当。民間シンクタンクにて自治体向けの都市計画コンサルティング等を担当している。


土屋 えみ (つちや えみ)
日本再建イニシアティブ アシスタント