アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)は2025年6月23日、東京・六本木の国際文化会館にて、インド・ジャワハルラール・ネルー大学国際関係学部 東アジア研究センターのシュラバニ・ロイ・チャウドリー教授を迎え、上記テーマでラウンドテーブルを開催しました。
本会合では、インド太平洋地域が国際的な連携と戦略的協力の中心として重要性を増す中、インフラを含む多層的な接続性が、持続可能な成長、地政学的安定、包摂的な発展を支える手段として再評価されているとの認識が共有されました。特に、ベンガル湾地域およびインド北東部が地域的動向の要所として位置づけられ、日印の関与の可能性と課題について多角的な議論が行われました。
冒頭発言でチャウドリー教授は、インドを地域的接続のハブとする構想に言及し、ベンガル湾およびインド北東部の戦略的重要性を強調。「Bay Initiative」や「BIG-Bイニシアティブ」などの地域横断的な取り組みを紹介し、物理的・デジタル的な接続性の強化が、経済・政治・制度といった多層的なレベルで果たす役割を説明しました。また、インフラ整備や人材交流を通じた日印協力が、防衛分野に留まらず、透明性・強靱性・包摂性を備えた地域秩序の形成にどのように貢献できるか、実例を交えて検討の方向性が示されました。
その後の自由討議では、日印間の制度的連携、第三国との協力の可能性、そしてFOIP(自由で開かれたインド太平洋)における包摂性と中国との関係性の捉え方など、幅広いテーマについて活発な意見交換が行われました。さらに、開発金融や貿易政策、近隣諸国の内政状況が接続性構想に与える影響にも触れながら、非軍事分野での協力を通じたルールに基づく地域秩序の構築について多面的な検討が加えられました。
今回のラウンドテーブルは、インド太平洋地域における日印協力の将来を、インフラを軸とした地域接続性の視点から再考する貴重な機会となりました。



